「計画された偶発性」

 「計画された偶発性」(Planned Happenstance Theory)を知っていますか?
 Unizou自身、恥ずかしながら最近知った言葉なのであるが、思わず得心してしまった。
 「計画された偶発性」とは、アメリカはスタンフォード大学の教育・心理学部、ジョン・クランボルツ教授が1999年に提唱した理論で、「キャリアの80%は予期しない偶然の出来事によって形成される」というもの、発表されるやいなや、大いなる注目を集めた。
 とりわけ変化の激しい現代社会において有効な理論と受け止められ、欧米のみならず日本にも多大なる影響力を及ぼしているという。
 「予期せぬ出来事を積極的、肯定的にとらえる」、これはクランボルツ教授の経験に裏打ちされている。
 教授自身が大学の心理学部教授というキャリアを歩むことになったのは、いくつものハプンスタンス(予期しない、偶然の出来事)の結果であると説く。
 すべての始まりは小学生の頃、幼稚園の時の旧友と「偶然」再会し、友人の勧めで「偶然」テニスを楽しむようになり、大学に入ってますますテニスに熱中し、そのため学校を除籍になりかけた。そのとき進路選択の相談に乗ってくれたテニスコーチが「偶然」心理学教授だったことから、自分も心理学の道に入り、その後も予期せぬさまざまな「偶然」が重なって、教授の今があるという。つまり、教授自身のキャリアもハプンスタンス(偶然の出来事)であり、偶然の出会いとそれに続く決断によって、今あるところに導かれてきたというのだ。(http://shingakunet.com/career-g/mmag/050808/infobox/index.html)(http://www.works-i.com/special/crisis_1.html
 偶然の出会いとそれに続く決断、確かに自分自身のこれまでを振り返っても、学生の頃、まさか今の職業に就くとは思っても見なかったし、診断士を目指すことも考えていなかった。就職して以降も、必ずしもやりたい仕事ばかりに従事してきたわけではなかったが、それでも働き甲斐を見つけ、今振り返れば楽しかったと思える。
 そういう意味では、自分なりに「予期せぬさまざまな出来事に対処し、激しい変化にもきちんと適応してこれた。」のかもしれない。
 クランボルツ教授の「予期せぬ出来事が個人のキャリアを左右する。」、「予期せぬ出来事を避けるのではなく、起きたことを最大限に活用する。」、「偶然を積極的につくりだし、キャリア形成の力にすることが重要。」。
 これらの言葉は、職業人にとってエールに感じられてならなかった。