明日の経営を創る

 5/15のFujiSankei Business iに、「企業の法令違反、倒産に発展37%増102件」という記事があった。【http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200705150005a.nwc
 「民間信用調査機関の帝国データバンクの調べで、コンプライアンス(法令順守)違反が一因となった倒産が、2006年度は102件に上り、05年度の74件から37・8%の増加となったことが分かった。」という記事だった。
 違反内容別でみると、売り上げや引当金不足などをごまかす「粉飾」が17件で、役職員の横領など資金繰りで破綻(はたん)する「資金使途不正」も17件を占め、トップ。次いで偽装(15件)、談合(13件)などとなったそうである。
 業種別では建設業が36件と断トツという。
 そして、記事には、法令違反に対する社会の目が厳しくなり、違反の判明が急速な信用低下などにつながったためで、帝国データは「順法精神の乏しい会社の破綻(はたん)は、今後も続く」と分析しているとあった。
 しかし、「不祥事が倒産に至るような企業は、ほとんどが上場企業の話」と、unizouは思っている。
 上場企業であれば、株主がそういったコンプライアンス違反があるような体質にそっぽを向けば、当然、株価が下がり、企業価値が下がって倒産に至ることになる。
 ところが、中小企業の多くは、株主はオール親族で、株価が下がることなどありえない。
 また、取引先の経営状況をしっかり見ている債権者もいない。
 目を光らせるとしたらとしたら、銀行くらいだが・・・。
 ただし、以前の銀行は、そのことについて目を瞑っていたように思う。それらが、不良債権になったともいえる。
 結局、銀行さえごまかせれば、目先の融資のために粉飾だってするというのが全部ではないが、多くの中小企業だったように思う。
 では、中小企業も上場企業と同様に、法令違反に対する社会の目が厳しくなっていることから、違反の判明が急速な信用低下などにつながらないようにするために、「粉飾」や「資金使途不正」をやめるだろうか?
 「違反の判明が急速な信用低下につながる」ことがない多くの中小企業にとっては、倒産などはありえないことから、「粉飾」や「資金使途不正」がなくなることはないというのがunizouの考えだ。ただし、中小企業が本気で儲けようとしたら話は別である。
 今、手元に独立行政法人中小基盤整備機構で作成した「明日の経営を創る〜会計を活かした体質強化の進め方〜」という冊子がある。
 これは、平成18年度中小企業会計啓発・普及セミナーで使われたテキストなのだが、そこには、次のように書いてある。
 「経営が継続・拡大し、金融機関から将来の運転資金が調達でき、自社が成長する要因(受注開拓力・資金調達力・経営分析力)がわかるためには、『会計情報としての、正しい決算書が大切』である。
 unizouもそのとおりだと思う。会社としての儲けをしっかり把握するためには、「粉飾」や「資金使途不正」はあり得ないことである。
 そして、そういう姿勢でいることが、「明日の経営を創る」ことになるのであって、「粉飾」や「資金使途不正」はコンプライアンス(法令順守)違反ではなくて、企業の態をなしていない企業のやることなのだと思っている。