こんな上司と働きたい

 「面接の達人」シリーズで有名な中谷彰宏さんの本の題名である。(PHP文庫刊)
 診断士試験「企業経営理論」の中に組織論があるが、組織論を習うずっと以前から、unizouが組織のことや上司になったらどんな上司になりたいかと考え、参考にしてきた本である。
 組織論風に言えば、組織内のモチベーションを高め、成果を挙げるための組織内の中間管理職のありようについて書いてある。
○ 会社が学校になり、上司が先生になる。人が育てられない会社に、優秀な人材は集まらない。

 社会で仕事をするために勉強していたのではありません。仕事を通して、勉強をしていくのです。これまでの時代は、いい会社に入ることが目的であり、そのために勉強していました。いい会社に就職することが目的であり、勉強していい大学に入ることが手段でした。
 ところがこれからの時代は、勉強できる会社、すなわち自分を向上させてくれる会社に優秀な人材が集まるようになります。勉強が目的で、就職や仕事はその手段になっていくのです。つまり、人を育てることができない会社に、優秀な人材は集まらないということになるのです。自分を磨くために、門を叩くのです。

○ 目立たない部下を見逃さない。地味な社員を評価する。

 地味な仕事をしている人間が評価されて、がんばろうと思えるかどうかが全体に影響を及ぼす。

○ 部下に勉強をしろというなら、上司が勉強する。

 部下が全然勉強しないとしたら、ひょっとしたら自分が勉強していないのかもしれないと、部下を自分の鏡として使っていくくらいの姿勢がないとダメです。
(中略)
 上司から、部下に伝達されるのは遺伝子です。中間経営者の仕事は、部下に遺伝子を伝達することです。勉強が嫌いな上司に、勉強好きな部下が、突然変異的に生まれることはないのです。

○ 上司と部下はライバル。仕事で力量を見せつける。部下が100本書いたら、上司は200本書く。

 上司と部下はライバルであることを忘れてはなりません。
 ライバルである以上、仕事で力量を見せつけなければ、単に役職で、「おれは課長で、お前は部下なのだから」という形では、部下は絶対に納得しないのです。
 部下指導は、管理職が犠牲になってするものではない。部下と自分自身の能力向上のために行う。
 部下を育てるということは、自分自身の自己啓発なのだと考えるのです。部下の啓発ではなくて、部下を育てていくことによって、自分が伸びていく、自分自身の啓発なのだと考えることです。

 こういったことに真剣に取り組むと、本当に疲れる。肉体的でなく、精神的にも疲れるものだ。それに、自己嫌悪に陥ることもしばしばである。
 ただ、そうなりながらも、また、同じように部下に向き合っていく。
 中谷さんがいうように、全ては自分のための自己啓発なのだと思えるし、また、自分の価値を高めるものでもあり、存在意義にもつながっていくからなのだと思っている。