知的財産権と中国、そしてロシア

 連休中のワイドショーに、診断士になじみの深い知的財産権の話題があった。
 「仰天!中国そっくり遊園地」と題して、シンデレラ城などディズニーランドを真似した北京の遊園地を紹介していたのだ。そこでは、ディズニーのキャラクターやドラえもん、キティなどの粗悪なぬいぐるみを着て歌ったり踊ったりといったショーもやっていた。
 また、その遊園地には、「ディズニーランドは遠すぎる」という看板が掲げられていると紹介していた。
 中国は、来年には北京オリンピックを控え、近代化が目覚しい国である。
 そして、WTO世界貿易機関:World Trade Organization)にも、そしてWIPO世界知的所有権機関World Intellectual Property Organization)にも加盟している。
 そういった国が、著作権などの知的財産権をきちんと保護していないことには、開いた口がふさがらないといった感じである。
 そして、何よりがっかりさせたのが、その公園が国営であったことだ。
 もし、一部に不心得者がいたとしても、どの国でも多少止むを得ないことだと思うのだが、国がそういった状況を認知しているようでは、国家の態をなしていないといえるのではないだろうか。
 コメンテーターの中には、「知的財産権に関する教育が必要だ。日本も、当初は、そういった状況だった」という人もいたが、本当にそうだろうか。これほど悪質極まりないことはなかったと思うのだが・・・。
 というのは、「努力した人は報われる」といった意味で、日本では昔から知的財産権を保護すべきであるという社会的な素地があったように思うからである。
 知的財産権の保護なくして、自由主義、資本主義社会は成り立たない。
 知的財産権の問題に限らず、以前から、中国に対しては、経済優先で友好関係を維持していくことに、非常に懸念があった。走り出して、すでに依存度が高くなったから、もう止めることができないような状態になってしまったが、中国を頼りにしなければ、きっと、自由で民主的、かつ法治国家である発展途上国と協力し、共に豊かな関係を築いていたかもしれない。
 今更、どうしようもないことなのかもしれないが、そうであれば、是々非々で、中国との対応を考えていくべきである。
 同様に考える国にロシアがある。プーチン大統領になってから、その傾向は強くなった、危うい国である。
 こちらも、知的財産権の保護に関して、国際知的財産権同盟(IIPA)が公表した報告書にで、米国製ソフトウェアの海賊版を生産・販売するなどして同国の企業に損害を与えた国のワースト2位はロシアだという。ちなみに、ワースト第1位は中国ということである。(著作権の2大侵害国は中国とロシア――米国企業の損害額は40億ドル以上に http://www.computerworld.jp/mkt/trd/58069.html
 知的財産権は、外交を考えるバロメーターになるかもしれない。
 知的財産権への取組が鈍い国は、「どうしてもお付き合いしなくてはいけない国」とはいえないのではないだろうか・・・。
 そういった国には、必ず人権抑圧や報道規制など、その国の国民が晒されている重大な状況が垣間見えているからである。