裁判官語録

 テレビや新聞で最近取り上げられている一冊、「裁判官の爆笑お言葉集」長嶺超輝著。
 その内容は著者が様々な裁判を傍聴し、その中で印象に残った裁判官の名言(迷言)を集めたもの。
 ラッキーにも図書館の新刊本に発見し、一番乗りする。
 「死刑はやむを得ないが、私としては、君に出来るだけ長く生きてもらいたい。」
 「私があなたに判決するのは3回目です。」
 「吸いたくなったとき、家族を取るか大麻を取るか、よく考えなさい。」
 法律の条文は、要件と効果で構成されいていることが多い。だから事実が要件に合えば、法文に書かれた効果が生じるわけで、解釈の余地の難しさはあるが、その点も判例等の蓄積によってある程度住み分けられるから、機械的な作業ともいえる。
 だから裁判には、ある意味、機械的な側面がある。しかし、そこに裁判官という一人の人間が介在するわけで、ときに私情を抑えられず思わず本音がこぼれたり、人の心に直接響く「詩」や「名言」をあえて借りることがあるのだそうだ。
 「その一言は深いなぁ」と思わず感心させられる名言から、「ホントに裁判官の発言?」と思ってしまうような発言までが、比較的最近の裁判例で紹介されている点がとても興味深い。
 裁判官は、ただ冷静に淡々と、どちらかといえば、無味乾燥な(失礼!)判決文を読み上げるだけと思っていた。実際、有名な判決が出た翌日の新聞には判示要旨が掲載されるが、途中で読むのを断念したくなるようなまどろっこしい、そして難しい表現が多い。
 思わず、機会があれば、裁判を傍聴したくなるような一冊だ。
 最近、特に刑事事件で、検察側の求刑をひるがえし、一転無罪判決となるものも多い.近いところでは、英女性ルーシーブラックマンさん殺害事件だ。
 裁判員制度も導入されることだ。司法の現場がどうなっているのか、一度見てみたいと思う。