暗い部屋

 「この部屋は暗いなぁ。」
 これは、unizouの隣の某グループ長の口癖。
 総勢30名弱の社員からなるこの部屋、某グループ長が、本当は、社員の雰囲気が暗いといっていると分かってはいるものの、敢えて「この部屋は窓が少ないですからね〜、他の部屋と比べると暗いかもしれませんね。」などと答えるunizou。
確かに、現メンバーの半分以上が前回の異動で、支社内外から転勤してきたメンバー。Unizou自身、若い頃を振り返ると、転勤1年目は、環境にも仕事にも不慣れで、なかなか自分の本領を発揮できないなんてことがよくあった。そして大概、2年目ともなれば、すかり慣れて、そこがホームグランドになるものだ。だから、1年生が多いこの部屋が他と比べて幾分静かでもそれほど気にしていない。
 ただこのグループ長、この一言では終わらない。
 「仕事はほどほどにして、皆明るく楽しくやらなきゃ、思い出作ってさぁ。」とここまではまだいいとして、問題はこのあと、「私が若い頃は、グループ長は仕事なんてしないんだ。皆、係員がやったものだ。」と言い放つ。仕事は部下がやり、自分はさも仕事をしなくていいようなことを言うのだ。
 確かにグループ長が言うとおり、この会社にもそういう古き良き時代があったのかもしれない。
 しかし、こんなことを聞かされていては、雰囲気がよくなる訳がない。部下社員も、「何を言っているのだろう、この人は。」といった冷ややかな視線を送っていた。
 unizouも先の発言を腹立たしく思っていた。会社でのいい思い出とは、皆一丸となって取り組んだ結果、いい成果を出せたとき、その慰労会で盛り上がったとか、そういうことだと思う。
 そんな折、グループ長の部下社員ひとりが、グループ長を怒るでもなくあきれるでもなく、淡々と諭すかのようにおだやかにこう語った。
 「グループ長、今はそう時代じゃありませんよ〜。社員の人数自体も減ってきていますしね。」と、そしてちゃんと「ですから、はい!これグループ長の分、お願いします!」と仕事もきっちり手渡したのだ。
 その瞬間、重苦しい部屋の雰囲気がフッと軽くなったし、unizouもこの部下社員に何か教えられた気がした。
 些細なことだが、改めて話し方ってすごく大切だと。