「もうかる農業」目指す

 昨日の読売新聞夕刊の2面に掲載された記事の見出しである。
 政府の「アジア・ゲートウエー戦略会議」(議長・安倍首相)が検討している農業活性化策の素案が明らかになったという記事である。
 農産物の海外輸出を増やすことなどで農業を「もうかるビジネス」に転換し、そのため、経営感覚に富んだ「企業家精神を有する農業経営者」の育成に力を注ぐことや、農業経営の規模を拡大するため、農地の集約を促進する施策も盛り込み、今後、有識者懇談会の意見を参考に具体策がまとめられ、5月をめどに策定するアジア・ゲートウエー構想に盛り込まれる方針だという。
 素案には、
〈1〉直売所や産地直売を通じた消費者への小口販売
〈2〉スーパーや外食産業、食品メーカーへの大口販売
〈3〉東アジアを中心とする輸出拡大――とのプロセスを経て、個々の農業経営者の販売力を強化する。
なども謳われている。
 そのほか、流通や食品産業、金融など異業種で活躍した経験がある人材を農業の担い手として迎え入れることや、農業経営者と異業種の連携による販売・財務面の経営力の強化の検討や株式会社など法人による農業経営も進めるとしているという。
 あまり国民の関心事にならないが、政府は、以前から、農業の活性化に取り組んでいる。
 今回の素案に盛り込まれる内容は至極当然のことなのだが、農業にとっては重要で、かつ画期的なことであり、unizouも以前から、「もうかる農業」への転換が重要であり、それには「MADE IN JAPAN」が通用するような付加価値の高い農産物の生産、人件費の安い国の農産物に対抗できるように地価の安い場所での徹底した機械化・合理化農業による農産物の生産しかないと考えていた。
 そして、「MADE IN JAPAN」の農産物は先進国へ、「地価の安い場所での徹底した機械化・合理化」によって生産した製品は発展途上国へ輸出する。
 「もうかる農業」への転換といった農業活性化策には、中小企業診断士がかかわれる余地がたくさんあると思う。いや、農産物の生産や販売も他の産業の製品の生産や販売と同じで、何ら区別されることもなく、積極的に関わる必要があるところといえる。
 実際に、中小企業診断士のフィールドとして関与されている人達もいると聞く。
 unizouも、中小企業診断士になった暁?には、是非、関与していきたいと思っている。
 「もうかる農業」に関して、もう一つ考えなければいけないのが、都市部にある生産緑地の問題である。これについては、都市部の保水や緑地率に関する問題もあるが、それとは切り離して考える必要があるというのがunizouの持論である。
 生産緑地として軽減されている税金は、他の周辺の宅地並みの課税に戻す。その上で、コストとしての税金を払えるだけの付加価値のある農産物が作れないということなら、農業は辞めざるを得ないだろう。 おそらく、花卉の生産くらいしかないと思う。
 その結果、都市部の緑地が減ることになると困るので、行政が公園などとして徹底して緑地を確保する。
 また、都市部における原野や公園などとしての私的所有については、所有に関する税金を大幅に軽減する。そして、譲渡に関する税金は、宅地並みの課税とする。
 個人の住宅についても、建蔽率という考えから緑地率という考えに転換し、一定の緑地を確保するように仕向けると同時に、一定の緑地が確保されていない場合は、税金を高くするなどの工夫が必要だと思う。
 農業は、都市部においては自然保護を理由に聖域化されるが、「アジア・ゲートウエー戦略会議」にいうように、基本は「もうかる農業」であり、それができない場合は、辞めざるを得ないが、一方で自然との調和を図るための行政の関与も積極的に行う必要があると思っている。