官庁と民間企業2

 以前ブログに官庁と民間企業のいずれにおいても、組織としてよくない方向へ行くことはありうるし、一部の人間が悪い行いをすることはありうると書いた。
 それに対して、ジョエルさんから『いろいろご自身で考えているようですが,官がどれほど腐りきっているかご存知ないものと思われます。現実を知る人はこの記事を見て失笑するでしょう。』というコメントを戴いた。
 確かに、官庁の不正や組織的な問題もたくさんあり、毎日毎日流されるニュースで国や地方公共団体の良くないニュースが流されないという日がないというのも事実である。
 しかし、民間企業の社員が悪い行いをせず、民間企業が良くないことをしないということではない。
 要は、そこに働く人達の意識の問題であり、本来の組織目的を十分理解して、問題意識の高い人がいれば、組織としての悪い部分も必ず変わって行くはずである。
 ただ、民間企業が不祥事などによって大きく経営陣が変わり、ドラスティックに変化することが可能なのに比べれば、官庁は変化の仕方が緩やかかもしれないが・・・。
 こういったことを前提として考えた場合、私たち国民が取らなければいけない態度は、絶対に次のようなものであってはならないと思っている。
 たとえば、官庁に働く人達の給料は税金が原資になっているから、「さも自分の税金が、あなたの給料」みたいな感覚で苦情を言っている人たちもいるし、自分が雇っている的な感覚で物を申す人もいる。「お前ら誰の税金で飯を食ってるんだよ」といった感じである。
 そんな光景は、市役所でも県庁でも、見られる光景だ。
 実際は、自分の個々の不満をそういった形でぶつけているに過ぎないと思う。善良?で、きちんと対応している職員に対して、そういった態度で臨めば、公務員のやる気は失われていく。
 以前、確定申告に言った友人のことを書いたが、友人から聞いたそのときの様子は、大勢の人が来ていて、中には「並んで待たされるのが嫌なのか、もっと職員を増やせよ!!!」と怒鳴っている人がいたという話を聞いた。
 その話を聞いたとき、職員を増やせば、確かに早くやってもらえるが、職員に対する給料を支払うことになるし、自分で何とかしようと確定申告書を作成している人や、税理士に頼んでいる人もいるから、そう人から見ると、「多少は自分でやれよ!」とか「待つのが嫌なら、自分で作成して出せば良いじゃん」といった人もいるだろう。確かにできる限り自分でやってから、サービスを受ければコストは安くなる。
 実際は、「パレートの法則」で考えれば、2割の人が国の収入の8割を支え、8割の人が2割の国の収入を支えているということになり、払っている税金より受けているサービスのほうが多い人が圧倒的に多いと思う。
 「払っている税金が少ないから、物を申すな!」ということでは決してないが、官庁は私たちの生活には不可欠なものなのである。
 給料を税金から払うのは彼らのためでなく、結局国民としての自分たちのためといえる。
 また、最近、警察官を大量採用せざるを得ない状況で、実際に大量にされている。
 この件に関しても、私たちが責任を持たなければいけない社会のありようが原因である。
 警察官の人と話をすると、「犯罪の増加や住民からの苦情など、処理しきれないほどの案件がたくさんあって、子どもと一緒に旅行などできる状況でない」という。今の時代、クラスのほとんどが休みには両親と一緒に旅行などで過ごす人が多いのに、である。
 確かに、組織として正さなければいけないところもあるが、官庁は国民の姿勢を映す鏡であると思う。私たちの有り様が官庁のありようなのだと、常々自戒しなければと思っている。