NHKドラマ「はげたか」

 NHKドラマ「はげたか」をテーマに2本ブログを書いたところ、ブログにアクセスしてもらった件数が大幅にアップした。
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 「二匹目のドジョウ」ならぬ「三匹目のドジョウ」を狙うわけではないが、NHKドラマが大企業を中心に展開していたので、中小企業の話題も取り入れた話を書こうと思う。
 unizouは、日本の会社の成り立ちは、全て税金を中心に考えられていると思っている。
 つまり、いかに税金を安くするかという視点である。
 個人事業者が「法人成り」するのも、税金が安くなるという視点である。
 実際は、メリット・デメリットがあるが、多くの企業が赤字決算でもやっていけるのだから、メリットの方が大きいのだと思う。
 「個人事業の所得税累進課税で、法人税は原則一律30%。ただし、資本金一億円以下の法人は二段階式(課税所得800万円以下22%、800万円超30%)。所得が低い段階では個人、高い段階では法人が有利」という見方もできるが、実際は所得が「低く」でなく、「0」あるいは「赤字」であれば、法人が有利である。
 以前、2007-02-06 「赤字企業と中小企業診断士」(http://d.hatena.ne.jp/unizou1972/20070206)と題して、国税庁から発表されている「平成17事務年度における法人税の課税事績について」によると、「企業の7割が赤字である」と紹介した。
 つまり、赤字でも、企業は継続できるのである。赤字が続けば、本来であれば倒産するはずであるが、実際は、倒産しない企業が圧倒的に多い。
 それは、なぜか?
 会社が、株主(出資者)のために利益を出すことを目的としているのであれば、利益が出ていない会社であれば、株主(出資者)は資金を引き上げるはずである。引き上げれば、倒産する。ところが、多くの会社は、株主=経営者であるから資金を引き上げることはない。
 また、株主=経営者も、役員報酬で生活は成り立つ。そして、運転資金が足りなければ、役員からの貸付金で会社の運転資金は凌げる。
 だから、結局、多くの会社は、「利益を出すことを目的としていない」ということなのだろうと思う。
 そういった状況で何が生まれるか。
 役員報酬お手盛り、交際費の付け替えといった、課税されない所得がたくさん出てくることである。
 大企業ばかりが話題になるが、中小企業も同様の様々な責任がある。
 企業は利益を出すためにあるはずである。そして、資本主義社会であれば、公平な環境の中で競争が行わなければいけないというのが原則である。
 そういった視点に立って、会社法を見ていかなければいけないと思う。
 また、倒産した場合、個人資産を担保にしていなければ、会社と個人は別物であるので、責任は追及されない。無責任の構図である。
 では、どうしたらよいのか。
 健全な企業経営を求めるためには、計算書類の公開が必須であると思う。
 以前紹介した早稲田大学酒巻俊雄教授の「改正会社法の理論と実務」(ぎょうせい刊)によると、前回の会社法改正でもその点は論議されていたようである。

 計算書類の公開は、物的会社有限責任の利益を享受するための基礎的条件の一つと考えられてきた。現行法のもとでも、すべての株式会社の計算書類が公開されるべきものとされている。しかし、小規模・閉鎖的な会社間では、これらは遵守されていない法規制の典型とされている。登記所を通じての計算書類の公開に対する中小企業の反対は、他の問題に比しても、極めて強いようである。多数の中小株式会社が存在するイギリスでも、1967年の会社法改正において、計算の公開こそ、より本質的な基礎的条件であるとして、すべての有限責任の会社に計算書類の商業登記所への公開が強制されることになり、今日に至っている。わが国の場合も、企業の継続を前提に、会社の資産状態・収益力の正確な開示が会社債権者の保護に値することを考慮すると、この制度の実現は中小企業のためにも必要と考える(一部抜粋)

と述べておられる。
 今回の改正では、実際は、本店に備え付ければよく、開示しないことに対する罰則もない。しかし、誰が、会社に乗り込んで、当事者を相手に閲覧を求めることができるのだろうか?
 今後は、公平な競争の中、債権者が保護されることを前提にした会社法に変わっていくことを強く望んでいる。