2連続はたき込み

 大関白鵬の二回目の優勝で幕を閉じた春場所、なんとも後味が悪かったのはunizouだけか。
 荒れる春場所の名と通り、朝青龍の二連敗に始まりどうなることかと思ったが、後半巻き返し、賜杯の行方は千秋楽にまでもつれ込んだ。
 千秋楽、大関白鵬横綱朝青龍の2人に絞り込まれた優勝争い。
 本割りで決するのか、優勝決定戦までいくのか。本割りで白鵬が敗れれば、千代大海にめっぽう強い朝青龍が俄然有利に立つし、本割りで白鵬が勝てば、朝青龍に多少プレッシャーにはなるだろうが、優勝決定戦は必至。優勝決定戦となれば、本割りで勝った朝青龍に分があるなどとにわか解説者気分でテレビの前で大勝負に期待がつのる。
 先に本割りに臨んだのは、大関白鵬。結び前の一番で対するは大関琴欧州
 真っ向勝負で、がっちり組んでからのすくい投げ、勝ったのは白鵬、館内は大盛り上がり。
 そして迎えた結びの一番、横綱朝青龍大関千代大海戦。勝ち残りの白鵬は土俵下から勝負を見守っている。
 時間いっぱい!息を飲む。
 「はっけよーい、残っ」の声と同時に、立会い変化した横綱についていけず、はたき込まれた千代大海。コンマ何秒であっけなく勝敗は分かれた。
 UNIZOUの相撲観戦歴は意外と長いが、横綱大関以下の力士から挑戦を受け、立会い変化して勝ったシーンはこれまで見たことがない。今の千代大海において、朝青龍戦で勝因を見出すとすれば、立会い勢いよくぶつかって、押し出すほかにあるまい。それを分かった上でもなお、下位力士からの挑戦をしっかり胸で受け止めるのが横綱たるものと思っていたし、unizouの知る限り、歴代の横綱はそうだったように思う。
 横綱ですらこういう勝負をするのだからと思ったのか、優勝決定戦もあっけない幕切れ。今度は大関白鵬が立会い変化し、横綱をはたき込んだのだ。これには朝青龍も苦笑い、自分もさっき使った手だけに怒るに怒れない。
 大相撲の横綱審議委員会(横審)が26日、両国国技館であり、春場所千秋楽結びの一番と優勝決定戦が注文相撲で決まったことを委員全員が問題視したそうだ。海老沢勝二新委員長(NHK前会長)は「熱戦を期待していたが残念。ファンの期待を損ねた」と話していた。
相撲はスポーツのひとつに変わりはないが、国技であり、相撲道という言葉もあるとおり、そこには、列記とした序列があり、決まった所作事があり、師匠と弟子、兄弟子と弟弟子などの厳しい人間関係がある。武士道にも通じるような日本ならではの伝統がある。
 外国人力士が多勢を誇る最近の角界
 平安時代、戦において武士は敵に向かって自分の姓名・身分・家系や戦における自分の主張などを大声で告げ(名乗り)、武士の作法として、名乗りが行われている間に攻撃することは許されなかった。そういう戦い方をしてきたのが日本人であること、それが伝統であることをもっと知ってもらいたい気がしてならなかった。