中小企業とe‐Tax

 一昨日、高校時代の友人と偶然街で会った。
 久しぶりなので、ついつい立ち話で話が弾む。
 何でも、税務署に行ってe‐Tax(電子申告)をしてきた帰りだという。
 「e‐Tax(電子申告)って、自分のうちのパソコンからインターネットを使ってやるんじゃないの?」
 「それがさ、去年家を買って、申告すれば税金が戻るっていうから、2月の半ば頃に税務署に行ったの。そしたら、受付にいる人が、『税務署では申告相談はしていないので、○○○○へ行ってください。でも、パソコンを持っていて、住基カードやICカードリーダーがあれば、意外と簡単にインターネットを使って自分で申告できますよ。曜日も時間も関係ないですし・・・。』っていうの。だから、『住基カードは持ってるよ』って言ったら、『それなら、初めての人には、税務署のパソコンを使ってe‐Tax(電子申告)を体験しながら申告できるe‐Taxサポートコーナーというのが利用できますよ。やってみますか?』って言われてさ。どうせ、○○○○へ行っても、混んでて待つようだから、やってみようかなって・・・。その場で、開始届出書を出して、それで、今日やってきたっていうわけ・・・。」
 「それで、どうだったの?」
 「それが簡単でさ。あっという間に終わっちゃった。国税庁のホームページに確定申告書コーナー【http://www.e-tax.nta.go.jp/sakusei/index.html】っていうのがあって、それに順番に入力していくだけ。パソコンは会社で使ってるから、入力はそんなに難しくないし、あっという間に入力が終わって。計算もしてくれるし、還付される税額も出る。本当に楽だよ。それができたら、e‐Taxソフトに組み込んで送信もできるし、そのままで送信もできる。それで、おしまい。説明を受けながらだったから、約30分くらいだったけど、もっと早く終わるかもしれないな、あんな感じだったら。税理士に頼まなくても大丈夫だと思うよ。税理士の仕事もなくなるんじゃない?」
 「へえ?でも、e‐Taxの評判、よくないって聞くけど?」

2007.01.26週間木村剛![ゴーログ] 税務署は税金を払って欲しくないんだろうか?
http://kimuratakeshi.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_3470.html

 「そうかな。何か難しいことしようと思ってるからじゃない?僕がやった住宅借入金特別控除だけでなく、年金と給与の人、サラリーマンの医療費控除なんかも相当簡単だって、税務署の人は言ってたよ。」
 うーん。どっちが、正しいのだろう?まあ友人は実際にやってきたのだから、真実なのだと思う。
 でも、世の中って、みんなこんな感じなのかも?
 100%みんなに受け入れられるようなものはなかなかないと思う。それに、ある程度使う人が合わせなければいけないことだってある。そうしなければ、国のコストがかかるもの。そのコストは、みんなの税金ってことになって、結局、税金が高くなる。
 週間木村剛で取り上げていた「WEB2.0(っていうんですか?)ITベンチャーの社長のブログ」では、インターネットバンキングを取り上げて、「高額な手数料?無料じゃないのかよ?」といった批判もしている。
 実際、個人のインターネットバンキングは大抵の金融機関が無料なのだが、法人はほとんどの金融機関で初期費用も月額費用もかかる。
 その差はなぜなのか?
 一言で言えば、法人はコストになるからである。そして、税金を納めるためにだけ、インターネットバンキングがあるわけではないからだと思う。
 つまり、インターネットバンキングの利用は、企業にとっても事務コストの削減につながるということだと思う。
 たとえば、「WEB2.0(っていうんですか?)ITベンチャーの社長のブログ」の著者は、源泉所得税の納付に毎月銀行に出かけるのだろうか?
 毎月出かけているとしたら、都心にある金融機関だとして、会社から歩いて5分の場所にあったとしても往復10分。金融機関が混んでいて10分待って、納付が終了。しめて、20分。一月に20分かもしれないが、そのほかにも金融機関に行く用事は、個人よりあるだろうと思う。
 事務員を雇っているにしても、社長自ら納付にいくにしても、その時間、営業はできないし、給料は払わなければならない。
 とすれば、インターネットバンキングは、時間にコストを払っていると言える。
 そういった理解がないなら、オンラインの手続きは何も使えない。
 unizouのメインバンク(一行しかないし、預金も少額なのでメインバンクといえない?)の三井住友の法人インターネットバンキングを見たら、「社員数が1〜20名程度の家族経営・小規模企業の方におすすめ」のパソコンバンクWeb21デビューと「社員数が20〜50名程度、および50名以上の中規模・大規模企業の方におすすめ」のパソコンバンクWeb21スタンダードとエキスパートがある。
 これからの時代、中小企業もインターネットバンキングで事務コストを削減する必要があるのだろう。
 また、会計ソフトとe‐Taxを組み合わせて、簡単な申告なら、税理士を頼まなくても大丈夫かもしれない。そして、そういったコストも削減できる。
 それから、「WEB2.0(っていうんですか?)ITベンチャーの社長のブログ」では住基カードのことも批判していたが、住基カードも、税金の申告だけに使うということでなく、これから行政としての広がりもあると聞いている。
 総務省のホームページの住民基本台帳ネットワークには、電子政府・電子自治体の構築の中で本人確認ができ、様々なサービスの提供ができると出ている。【http://www.soumu.go.jp/c-gyousei/daityo/juki_card.html
 中小企業にとっても、日本の未来にとっても、e‐TaxをはじめとするIT戦略は、これからますます重要なものになってくるのかもしれない。