運転資金と消費税
昨年、消費税税率を上げるという話が、結構話題になった。
でも、今は、すっかり音沙汰なしの状態である。
しかし、少子高齢化の現状を考えると、いずれはそんなことになるのかもしれない。
そこで、今回、消費税について消費者=納税者の立場でなく、消費税の納税義務者になる中小企業の立場になって、ブログに書いてみようと思う。
しばらく前になるが、unizouがよく行っていたお気に入りの定食屋があった。
ボリューム満点で、味も母の味といった感じが好きで、遅くなった仕事の帰りによく立ち寄って食べていた。
そんな大好きな定食屋なのだが。一つだけどうしても許せないことがあった。
それは、「当店では消費税はいただきません」とメニュー表に書いてあることだった。
仕入れ価格には消費税分が含まれているので、「消費税不要」「消費税はいただきません」などと表示することは不当表示となるはず・・・。
それを、消費者におもねり、「消費税はいただきません」などと書いている。
品物の質がよくても、社会的にきちんとすべきところをしていないのでは、評価がぐんと落ちる。
そして、新聞の投書欄にもよくあるが、「消費税を滞納しているところは、厳しく徴収して!!!」という消費者のって要請も多い。
また、消費者にとっては何でも安くて質がいいほうが良いに決まっているのだが、商売をやっているものどうしで考えれば、一方が消費税を戴かないということは、公平な競争にはならないといえる。
たとえば、1000円の品物を消費税込みの1050円で売るのと、消費税込みの1000円で売るのとは大違い。
消費税込みの1000円の品物は、実際の品物の価格は952円。
つまり、952円の品物と1000円の品物の価格競争になる。
となると、消費者にとっての消費税というより同業他社にとって消費税は重要な競争の要素になるといえる。
「消費税をいただきません」ということもそうだが、消費税を滞納して運転資金に回すことも、公平な競争を阻害する要因になる。
消費者から預かっている消費税を、一時運転資金に回せば、それだけ価格競争に余裕ができる。逆に真面目に消費税を納めている企業には、ハンディになる。
だから、消費税を真面目に納めている中小企業は、消費税の滞納についてもっと厳しい声をあげるべきだと思う。
でないと、100メートル競走のスタートラインで、既に5メートル遅れを取ってしまっているようなもの。実際、たかが5%といっても、年間1000万の売上、仕入れが6割の企業でも、消費税は20万円と意外と大きな金額になる。価格競争に勝ってしまえば、あとはどうにでもなる。
以前「租税は経済に中立でないといけない」と聞いたことがあるが、これでは中立とはいえない。
こういったところにも、中小企業は競争の要素があることを改めて知るべきなのかもしれない。