学習への探求心 

 この金曜晩に放映されたNHKニュースの中で、ある男性が東海大学大学院に合格したことを報じていた(http://www3.nhk.or.jp/news/2007/02/24/d20070223000171.html)。
 その方は、東京都府中市在住の佐々木公一さん、59歳。
 10年前に筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されて以来、徐々に体が動かなくなり、現在は人工呼吸器を付けての生活で、声を出すこともできないという。
 ALSは、脊髄、脳幹や大脳皮質の運動ニューロンのみが選択的に障害される病気のひとつで、有病率は10万人に5人程度、難病に指定されている。一般的に女性よりやや男性に多く、中年以降に発症する。残念ながら現代医学をもってしてもまだ病気の正確な原因はわかっておらず、また発症後改善する薬も開発されていない。
 佐々木さんは、患者として暮らすなかで介護や福祉制度に強い関心を持つようになり、今月16日に東海大学大学院の健康科学研究科を受験したそうだ。
 23日には、試験結果の通知が、自宅に郵送され、佐々木さんが、奥様や介護ヘルパーの方が見守る中、その通知を開き、自身の合格を確認する様子が映像で伝えられていた。
 佐々木さんは、頬で入力棒を押すことで文字入力できる特殊なパソコンで文章を書いたり、ひらがな50音が書かれた透明の文字盤に佐々木さんが送る視線を読みとって会話をしていたが、合格の喜びを、「合格できてホッとしている。全国のALS患者と家族の声を伝え、患者の声を優しく受け入れる社会を目指して勉強したい」と語っていた。
 見守る奥様も、「この合格で勇気をもらったね。より前向きになれるね。」と佐々木さんに語りかけていた。
 重いALSの患者が大学院に通うのは全国で初めてのことだという。
 佐々木さんは、4月5日の入学式に出席し、大学院生として片道2時間かけて神奈川県伊勢原市にある東海大学に通い、患者の立場からみた福祉について研究するのだそうだ。
 映像を見て、その受験勉強にかける努力や取り組む姿勢に頭が下がると共に、難病に侵されても、それをただただ悲観するのではなく、その逆境を跳ね返さんとばかりに体から溢れてくる学習への探求心を見て、勉強というのは、年齢・性別・置かれている環境に左右されるものではないと改めて感じ入った。
 Unizouの学習への探求心、最近は少し牛歩気味だが、姿勢を正される思いがした。