商売を始める資格・・・?

 商店街の衰退が言われて久しい。
 その原因は、どこにあるのだろうか?
 イオンのようなショッピングセンターが郊外にできることが、一番の原因なのだろうか?
 薄利多売で、効率よく仕入れて売れれば確かに儲かる。
 商店街の小さな個店では、どんな業種であってもそれはなかなか難しいこと。
 では、商店街の小さな個店は生きていけない・・・?
 ところが、絶対そうとも言い切れない。しっかり、根を張ってたくましく商売している個店もたくさんある。
 では、たくましく生きている個店とそうでないことの違いは・・・?
 まずは、売れることが一番である。
 売れるということはニーズがあるということ。
 消費者のニーズは様々で、そのニーズのどれかに特化してもいいかもしれないし、多様なニーズにこたえられるというのでもいいかもしれない。
 そして、経営者が、どのやり方がいいかをきちんと判断していることが大切。
 しかしである。売れても、経費が掛かりすぎては元も子もない。ボランティアではないのだから・・・。
 そんなことを考えていたら、面白い番組を見た。
 昨日の夜から始まったNHKテレビのドラマ「はげたか」http://www.nhk.or.jp/hagetaka/index.html

 1998年。NYの敏腕ファンド・マネージャー鷲津政彦(大森南朋)が5年振りに「日本を買い叩くこと」を目的に帰国する。手始めに、かつて勤めた三葉銀行相手にバルクセール*1を仕掛ける。バブル時代の銀行による過剰融資を受け、ゴルフ場などの事業を拡大し、バブル崩壊後、莫大な負債を背負った老舗旅館「西乃屋」の債権を手に入れた鷲津は、経営者の西野昭吾(宇崎竜童)の懇願も受け入れず、高値で売り飛ばす。息子の治(松田龍平)は父親の経営手腕を激しく責め立て、昭吾は、金策尽き果て失意のうちに死んでしまう。治は、父親、旅館の両方を一度に失う。
 三葉の重鎮役員・飯島(中尾彬)を抱きこみ、ただ同然の価格で債権を買い叩く鷲津のやり方に反発する銀行側の担当者で鷲津の元上司・芝野(柴田恭兵)や、三葉銀行時代の鷲津の貸し渋りにより、小さな工場を経営していた父親が自殺に追い込まれた過去を持つ経済記者三島由香(栗山千明)など、日本経済に大ナタをふるうハゲタカの冷酷さに3人のドラマが動き始める。

 ただ「かわいそう」だけでは、本当は不幸な人間をつくるだけなのだ。
 「経営に失敗したから、人間をやめなさい!」とまで言ってない。
 ドラマの途中で、西乃屋の主人役の宇崎竜童が、主人公のファンド・マネージャー役の大森南朋に向かって、「そんなやり方は許せない」というと、「あなたが許せないのは、経営の能力がなかった自分ことでしょ・・・」と返される。
 二の句が継げない西乃屋の主人。
 銀行側にも貸し手責任があるかもしれないが、再起不能になる前に「撤退」すべきだったのかもしれない。
 よくよく考えてみると、商店街の個店でも、まずは売れる努力をしていないところもあるし、財務を理解していない経営者もたくさんある。
 世間では、税金の申告さえ税理士任せで意味がわかっていない経営者もいるという。
 どれだけ売れて、どれだけ経費が掛かっているか知らなくてどうするのだろう?
 それがわかれば、税務的な修正を少し加えて申告書はできあがるはず・・・。
 商売を始める資格としては、物を作るとか、サービスを提供する能力があるだけではダメなのだ。経営の能力がなければ。そのためには、絶対に財務を知らないと・・・。
 経営の能力のない人たちが仕事を続けることは本人にとっても重荷であり、周りにとっても不幸なことだと思う。
 西乃屋の主人が老舗旅館を先代以上に繁盛させようと、無理したのと同じように。
 でも、経営者としての道ばかりが生きる道ではないと思うのだが・・・。

*1:銀行の抱える何百もの不良債権をまとめ買いするビシネス。