技能と技術

 団塊世代が大量退職する「2007年問題」、数年前からそう言われて久しいが、いよいよ現実のものとして押し寄せてきた。
 unizouの会社でも今年、歩く○○事業部とまで評されるような各事業部の主と言われる先輩方が退職を迎える。unizouも折に触れ、そういう先輩方からピンチをどう切り抜けたかや今だから言える失敗談を伺って少しでもその時代にあったことを吸収したいと思っている今日この頃である。
 そんなとき、「技術」と「技能」は違うということを知った。
それは、しっかり2006年版中小企業白書にも記されている。「第3部少子高齢化・人口減少社会における中小企業」の「第2章『世代交代の2つの波』と中小企業の事業承継・技能承継」の「第5節高齢層従業員の技能」に詳しいのだが(http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h18/H18_hakusyo/h18/index.html)、端的に言うと、「技能」は、マニュアル化が可能な「技術」と異なり、従業員が『経験とカンを通して身につけていくもの』で次世代への継承が難しいものだというのだ。
 特に中小製造業にあっては、不況期に若者の採用を抑えていたほか、そもそも新規採用自体のノウハウに乏しいため、ベテランから技能を学んで受け継ぐ若者の人材不足が深刻化しているという。
 白書では、学問的に「技能」と「技術」を次のように説明している。

一般的に技能とはどのようなことを示すのであろうか。
先行研究においては、技能を大きく職業能力として捉え、それを2つの概念に分けることで説明されてきた。IT化やマニュアル化などで対応可能となるもの、すなわちコストをかければ自動化できる能力や知識、言葉や数値で表現できる能力や知識を示す「技術」と、各個人が固有に保持しているため、マニュアル化することが困難な能力や知識を示す「技能」である。
技術は組織内で共有された能力であるため、IT化やマニュアル化による形式知化が可能なものであるが、技能は技術と異なり暗黙知であり、組織的に保持する能力というより、個人が経験と勘により身につけていくものとされる。したがって、経験に裏打ちされた目に見えない技能を次世代へ円滑に承継していくことは一般的に困難であり、長年に渡るOJTや教育などの、承継に対する取組の積み重ねが必要と言えよう。すなわち「技能」は、それ自体が経営資源として、新しい問題発生時における臨機応変の対応能力や、既存の作業をTPOに合わせて改善し高精度かつ効率的に行えるようにする能力を示すこととなろう。

 改めて意味を知ると、2007年問題の重大性を思い知る。残り時間は限られているが、少しでも、諸先輩方の経験を疑似体験しなければと半ば焦るunizouであった。