この国の行く末

 昨日、非行乗客について書いた。
 ところが、それだけでなく「この国は、一体どうしたのか?」と思うことが、ほかにもたくさんある。
 それも、思慮分別が足りない若い人たちがやっているということでなく、思慮分別も十分にあるはずの中高年がやっているのだからあきれ果て、当惑してしまう。
 最近のニュースで、『線路侵入で『デゴイチ』の緊急停車相次ぐ」というのがあった。
 千葉県とJRの観光キャンペーンで、SLのD51、通称「デゴイチ」が、千葉−木更津を走り、沿線に多くの人が集まっているというのだが、1日には線路内にカメラを持った人が立ち入ったため、3度急停車したという。そして、3日には60歳代の男性が線路に寝そべってカメラを構えたため、保護される騒ぎがあったというのだ。
 60歳にもなって、自分のやりたいことしか見えないなんて、どういう人生を送ってきたのだろう?・・・皆目見当がつかない。
 先日、たくさん払った医療費を所得から控除して還付を受けることができるというので、休みを取って税務署に行ったときのことである。
 税務署に行くと閑散としている。よく良く聞いてみると、「税務署では相談しながらの申告書の作成はしない」ということで、完成した申告書の受け取りだけを行うということだった。相談しながら申告書を作成するのであれば、市内のホールに行ってほしいとのこと。窓口でそんな説明を受けていたら、後ろに並んでいた中年の男性が「書いてあるのを受け取るだけなのに、何してるんだよ!!!もっと人数を増やせ!」と怒鳴っている。
 数人しか並んでいないし、それに並んでから数分だと思うが、いきなり怒り始めている。
 完成しているのなら、「わざわざ来ずに郵送すればいいのに・・・?」と、税務署の肩を持つ気はないがそう思っていると、税務署の職員は悪くもないのに「申し訳ありません。順番にお受け取りしますので・・・」と丁重な対応をしている。
 一体、そんなにヒステリーになる理由がどこにあるのだろう。
 状況から判断しても、5分や10分待たされても仕方あるまい。
 たくさん職員を並べれば職員の数にも限りがあるからもっとたくさんの職員を雇う必要があるだろうし、そうなれば私たちが払う税金に跳ね返ってくる。サービスを無尽蔵に提供させれば、コストは高くなるのである。何かをしてもらうのであれば、ただでは済まない。
 大の大人がこういうことを理解していないのでは、子どもたちに示しがつかないだろうし、子どもたちの不適切な行動や態度に何を言えるのだろうか?
 そして、相談会場へ行くと今度は還付申告をする人の長蛇の列である。
 「自分も含めて、こんなに納税者が来たら職員もさぞ大変だろう」と思う。
 それにしても、毎年、税務署はこんなことを繰り返しているのだろうか?
 職員に聞くと、「今日は少ないほうですよ」とあっさり言う。
 会場の様子を垣間見ると、職員は何人もの人を相手に縦横無尽の活躍である。
 丁寧に説明していても、理解していただけない納税者の方もいて、四苦八苦しながらやっている。それをずっと繰り返しているようだ。
 私たちは、この国に生まれて自分たちが分担しなければいけないこともたくさんある。
 ケネディ大統領の就任演説にはこうある。

「And so, my fellow Americans, ask not what your country can do for you; ask what you can do for your country.My fellow citizens of the world, ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man.」
 そして、わが同胞のアメリカ人よ、あなたの国家があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたがあなたの国家のために何ができるかを問おうではないか。わが同胞の世界の市民よ、アメリカがあなたのために何をしてくれるかではなく、われわれと共に人類の自由のために何ができるかを問おうではないか。

 この国の行く末を思うとき、今起こっている地方財政の破綻、いろいろな事件も、私たちがそういった精神を持ち合わせなくなったことが原因のような気がしている・・・。