会社経営から教育改革へ

 unizouにとって、居酒屋として馴染み深い「ワタミ」、そのワタミが介護ビジネスに参入していることについては、以前ブログで取り上げた。
 そのワタミグループのCEOである渡邉美樹氏の学生時代からの夢は、会社経営と学校作りだったそうだ。
 事実、2000年にワタミ東証一部に上場させたことを区切りとして本格的に教育事業へ挑戦し、2003年からは、中高一貫の私立学校である「郁文館夢学園」の理事長に就任し、経営危機に遭った学校の改革に取り組んでいるそうだ(http://www.ikubunkan.ed.jp/student/rijichou_koza.html)。
 安倍内閣のもと、教育再生会議有識者メンバーに選出されたのも、この学校改革の手腕や教育理念が認められてのことではなかろうか。
 理事長就任当時の学園は、約1600人の生徒のうち、最大600人が遅刻をする状態だったという。
 そんな中、最も力をいれたことは、教師の意識改革だったそうだ。
 教師は最良のサービスを提供する義務があり、それは何も授業に限ったことではなく、生活指導についても言えるとして、「社会では時間を守れない人間は信用されない」ことを、教師は、なぜ遅刻が行けないのかを説明し、生徒を改善させるのが当然というスタイルで基本的なことから意識改革を進めた結果、学園の雰囲気は劇的に変わったのだそうだ。今では構内に挨拶がこだまするようになるほど。
 さらに教師の意識改革を成功させた秘訣が、優れたサービスを提供した人に報酬で報いる評価制度を導入したこと。
 授業の公開などを通じ、教師の活動情報を積極的に公開し、生徒、保護者、教員間、校長が査定する「360度評価」なるシステムを取り入れ、その結果を賞与に反映させる。
 最低基本給の一ヶ月分から最高9ヶ月分と差がつくため、導入当初60人いた教員のうち、20人が反対して退職したという。それでも残った教員のモチベーションは確実に上がったと感じているそうだ。
 教員採用についても、それまでの縁故採用を辞め、公募による体制に変えた。
 「生徒を幸せにするためだけに学校はある。」、教師の意識改革を進めることが教育再生の鍵だと語る渡邉理事長。
 いじめを苦にし小学生が自殺する現代、「生徒を幸せにするためだけに学校はある。」という言葉の重みを改めて感じた。