「亥」と経済

 1月も半ばを過ぎ、お正月ムードもだいぶ薄れてきた。
 今年の干支、「いのしし」にまつわる話がそこここで取り上げられていたが、一番印象に残ったのが、unizouの会社の社内誌で取り上げられていた「『亥』と経済」というコラムだった。
 戦後6回目を迎える「いのしし」年。
 戦後最初のいのしし年は、日本国憲法が施行された昭和22年、日本経済は、終戦後の窮乏と混乱の状態からわずかずつではあるが立ち直りの兆しを見せ始めていた。
 2回目は、皇太子(現今上天皇)の結婚式があった昭和34年、日本経済は、前年から始まった「岩戸景気」に沸いていた。結婚式と祝賀パレードの模様がテレビ中継されたように、テレビをはじめとする耐久消費財の急速な普及も景気拡大を後押しした。
 カップラーメンとマクドナルドが登場した昭和46年は、ドルショックと円切上げ(360円→308円)で景気は一時低迷したが、政府は公定歩合引き下げなどで景気回復に力を入れた年だった。カップラーメンの開発者であり、日清の創業者で会長の安藤百福氏が逝去されたと報じられたのは、それから3回目のいのしし年が明けてすぐの平成19年1月5日のことだった。
 東京ディズニーランドがオープンした昭和58年は、3年間に及ぶ景気調整局面を脱し、回復に転じた年だった。
 阪神大震災のあった平成7年は、1ドル80円を切る超円高となった。景気は足踏み状態に陥ったが、思いきった財政・金融政策によって克服し、後半には景気が回復傾向に戻った。
 そして、戦後6回目のいのしし年を迎える平成19年。 
 これまで、戦後のいのしし年には、景気の回復期に当たる年が多く、その意味で、景気拡大に期待が持てる年といえそうだ。昨年は、平成14年2月から始まった景気拡大局面が「いざなき景気」(57ヶ月)を超えたと報道された。
 「亥」の語源には、「根ざす」、「兆す」という意味もあるとか。
 今年は、景気の拡大が、実感あるものとして根ざしていくことを期待したい。