不二家の隠蔽

 ペコちゃん、ミルキー、ショートケーキと言えば、「不二家」、その不二家の隠蔽体質が明らかになって数日が経過し、連日でるわでるわという勢いで報道が続いている。
 発端は、不二家の埼玉工場(新座市)で製造されたシュークリームに消費期限切れの牛乳が使われていた問題。
 その後、細菌の数が一グラム当たり十万個以下が食品衛生法の規定であるのに対し、国の基準の十倍、自社基準の百倍の細菌を含む洋菓子「シューロール」の出荷していたことも判明。
 さらに、消費期限切れのリンゴの加工品を用いたアップルパイや、社内の基準を超過した賞味期限表示を行ったプリンといった品質基準未達成品を多数出荷していたこと、2004年には同工場で月に数十匹のネズミが捕獲されていたことが公表された。
 そして、今日、消費期限切れの卵を用いてシュークリーム(2006年8月頃)や他の製品を製造していたことなどが新たに判明した。
 ここまで来ると、消費期限の切れた食材使用の常態化が覗えて、何ともコメントし難い企業姿勢。
 1910年の創業以来、2010年で100周年を迎える不二家。その100周年を見据えて昨年9月に設置した社内の構造改革チーム「2010推進プロジェクト」。
 その構造改革チームが実施した社内調査に対して、従業員らはその実態を証言していたという。それを幹部は、雪印の二の舞を恐れ、隠蔽した。なんのためのプロジェクトチームなのか?
 そして不二家には、工場で使用した食材の記録などが残っておらず、出荷数量や出荷先、詳しい時期までは調べられないという。
 しかし、不二家は、国際標準化機構(ISO)の国際品質・環境規格を取得していた。一般にISO基準は取得よりも維持が難しいといわれるだけに、工場の記録がない中で、どう維持されてきたのがこれまた不思議だ。経済産業省は、取得後も基準が守られているかどうかを調べなおすため、関連団体に臨時審査を要請したそうだが、これまでの審査はどうあったのか。
 一連の報道を見てきて、構造改革チーム「2010推進プロジェクト」の調査で判明したときに発表した場合と隠蔽が事後的に発覚した場合との起業ダメージを、不二家幹部はどう考えていたのか?と首をかしげてしまう。老舗ゆえの保守的な姿勢が、企業存続の危機までに会社を陥れている。
 おとといブログで書いた「会社の救済=人生の救済」を使命する企業再生専門弁護士、村松謙一氏はこの事態をどう見ているかと思わず意見を聞きたくなった。