ビジネス支援図書館

 昨日一日、火曜日に行う勉強会のテーマ「中小企業の資金調達」について、’05と’06の中小企業白書を読んでいたら、図書館ネタを偶然見つけたので紹介したい。

コラム1-2-1 ビジネス支援図書館の活動
 開業を準備する者や、開業間もない企業の経営者にとっては、ビジネスモデルに関するアイデアや、実行に移すための知識、経営管理上のノウハウといった情報を、限られたネットワークやソースの中でどのように入手するかが重要な問題である。この点、「ビジネス支援図書館」と呼ばれる、公共図書館によるビジネス支援活動が注目を浴びている。
 これは、地域の図書館が持つ豊富な情報の蓄積と、司書によるレファレンスをもとに、創業者や経営者へ情報の橋渡しの役割を担うことで、地域における開業活動や中小企業経営等を支援するものである。2001年度にビジネス支援に取り組む図書館は全国で4館に過ぎなかったが、2005年7月には30館を超えるに至っており※、取組を検討中の図書館も多く、着実な広まりを見せている。
 支援に向けた取組は図書館により様々だが、代表的な機能としては、〔1〕図書館としての公共性を活かして大量に蓄積した幅広い分野のビジネスに役立つ文献・雑誌等紙媒体の情報を、ビジネスをキーワードに集め一覧できるようにして提供したり、インターネットやデータベースといった電子媒体を無料で提供していることや、〔2〕必要な情報へどのようにアクセスすればよいか分からなくとも、情報収集のノウハウを持つ司書によるレファレンスサービスを受けることができること、〔3〕平日のみならず土日も開館しているため、フルタイムの仕事を持つ者にも利用しやすく、無料であることと併せて、誰にとっても敷居が低く利用しやすい公共施設であること、〔4〕図書館によっては行政や商工会議所、大学等専門的なノウハウと機能を持つ機関と連携を図っており、情報へのワンストップ的なアクセス窓口となっていること、〔5〕開業セミナー等の開催による情報発信を挙げることができる。
 具体例として品川区立大崎図書館の活動を見ると、モノ作りに関する情報を中心に、4,000冊以上の専門書やビジネス書、8種のオンラインデータベース、約80誌のビジネス雑誌・新聞を取り揃えるほか、品川区産業振興課からのコーディネータの派遣や、NPOによるよろず相談会、経営者や技術者同士の交流会の開催等外部機関との連携を実施しており、知識やノウハウを有する協力者の参画を受けることで、ニーズに合った情報や奥行きのある支援を提供している。
 ビジネス支援に取り組む図書館の広がりとともに、このような地域に密着した取組を通じて、開業活動の活性化や、開業間もない企業の生存率の向上につながることが大いに期待される。
中小企業白書 第一部第2章より http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h18/H18_hakusyo/h18/index.html

 確かにビジネス関連書籍は、結構値が張るものが多い。創業の準備をするといった時点では経費にもできないし、自分で購入するには負担が大きいのは確か。
 こんな形で我が愛する図書館が、中小企業白書に出ているなんて思いもしなかった。
 そして、ビジネス支援図書館推進協議会の設立経緯には次のようにある。

 21世紀の日本経済を支えるのは、ベンチャーによる新産業創出であるという考えを基本に、創業及びベンチャーを支援する政策に力が注がれています。日本の開廃業率は、中小企業白書によると、景気の低迷を反映して平成8年〜11年には、開業率3.5%、廃業率5.6%という大きな逆転状況になっています。また、大企業を中心にリストラが進み、失業率が高まるなか、このような低い開業率であるにもかかわらず、設立10年未満の新設企業が、日本の雇用全体の約1/4程度を占めるという状況にあります。そこで、創業を活発にすることが雇用拡大に大きく貢献し、日本経済再生には必要不可欠であると考えます。平成10年ごろからベンチャーを支援する政策が多面的に実行され、予算も増加してきましたが、まだ、開業率の急速な上昇傾向は見られません。これは、社会制度や教育に問題があることが原因として考えられますし、政策の実行から効果が出るまでの期間にタイムラグがあることも推測出来ます。
 しかし、これまでの施策とは別なアプローチも必要だと考え、創業を促進する新しい可能性として図書館に注目しました。昨年までアメリカに在住していたジャーナリスト菅谷明子さん(本会副会長に就任)の報告(「図書館の学校」12月号アメリ公共図書館最前線Vol.1及び中央公論1999年8月号進化するニューヨーク公共図書館)を参考にして、ビジネス支援図書館構想を立案しました。 
 図書館は、一般市民や学生にも、たいへん親しみのある公共施設でありますが、ビジネスを支援するという考え方はあまりありませんでした。それだけに、新しい層の創業を喚起できる可能性があります。特に、ベンチャーとして成功の可能性の高い30代の大企業の優秀な研究者は、休日を家族と図書館で過ごすことがあります。また、学生や女性にとっても図書館は親しみやすい施設です。そこで、日本の新産業創出につながるベンチャーと地域のマイクロビジネス創出の新しいきっかけとなる可能性を模索したいと思います。また、図書館は、土日に開館していることから創業希望者が休日に準備できるという点で非常に有効な支援機関に成り得ます。しかし、従来、図書館には、ビジネス支援や創業支援機能はほとんどなく、ビジネス支援の経験が乏しいため図書館が単独でビジネス支援に取組むことには困難が予想されます。そこで、創業支援経験者と図書館関係者が協力して推進協議会を設立して、平成13年度にモデル事業を展開して、その成果を全国の図書館に公開して、新しい図書館の可能性を示していきたいと考えていますので、ご支援賜りますようにお願いいたします。
ビジネス支援図書館HPより http://www.business-library.jp/about/index.html

 いろんな形で図書館を含めた公共施設はある。使い勝手は、国民一人ひとりが決めること。
 使わないと本当に損ですよね・・・。