恐るべし納豆パワー 

 めっきり、寒くなった。会社で地球温暖化対策をしているunizouにとって、暖房の室温設定を19度しているが、社員からは「寒い寒い。」と苦情言われ、実際結構寒いので、温暖化対策も大変だと思っている今日この頃だ。
 毎週火曜日、テレビ東京で放映中の日経スペシャル「ガイアの夜明け」、その12/5放送の「中国“水の危機”を救え!〜海を渡る日本のエコ技術〜」は、エコ対策中で、かつ、金魚好きのunizouにはたまらないないようだった(http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview061205.html)。
 空前の経済成長中の中国だが、急劇な工業化の裏で、深刻な環境汚染、特に水の汚染と不足に直面しているという。実際に、農村部では、4億人近い人々が水不足に苦しみ、品質に問題のある水を飲んでいる様子が放映されていた。環境対策は、経済発展の陰で後回しにされてきたというのがホンネで、工場が垂れ流す排水によって、川は黄色くにごり、魚が姿を消していく。その姿は、まさにかつての日本の公害を連想させた。
 そこで、注目され始めたのが、水処理に高い技術を誇る日本の排水処理や水の再利用技術だ。番組では、中国の水危機の現状と、乗り込んだ日本企業の闘いの様子が描かれていた。
 目にとまったのは、納豆パワーで水質浄化を試みるベンチャー企業の挑戦だ。
 水槽の中に入れておくだけで、長期間水が濁らないというブロックが、観賞魚好きの人々の間で話題になっている。
 そのブロックを作ったのは、従業員わずか5人の熊本のベンチャー企業と福岡のコンクリートブロック会社だ。ベンチャー企業「ビックバイオ」(http://www.big-bio.com/)の阪本恵子社長は、河川の汚染など自然環境の悪化に危機感を抱く元専業主婦。水質悪化の元となる有機物やアンモニアなどを分解する納豆菌群の存在を知り、ブロック会社を経営する古賀雅之さんと共同で納豆菌をコンクリートの中に閉じ込める技術を開発。水質浄化ブロックを商品化した。このブロックを河川や池の底に並べれば、納豆菌が水中の有機物を食べ、水を浄化してくれる。
 この水質浄化ブロックは、大掛かりな装置を必要としないことから、環境対策予算に限りのある新興国の注目を集め、これまでにマレーシアの国家プロジェクトで採用された実績を持つ。そして、「巨大市場中国にもニーズがあるはず…」と次なる目標を定めた。   
 それは、巨大な中国市場。北京市内のアミューズメントパークにある池、ヘドロがたまり、悪臭まではなっている。訪れる観光客からの苦情まででていた。
 中国市場への参入という大きな目標のためには、中国側からのコストダウン要請は飲まざると得なかったビッグバイオだが、無事契約にこぎつけ、11月上旬、コンクリートを池に設置した。それから2週間後、現地を訪れた坂本社長。水温の低さから納豆菌の活動が心配されたが、水深の浅いところでは、池底が見えるまでに浄化されていて、これには中国側も満足そうだった。
 ビッグバイオの製品の品質も見事だが、そもそも主婦が納豆菌の性質に着目し、起業したというベンチャーぶりに感心した。今回の成功を契機に坂本社長の中国市場参入への夢は手中に収めたといえよう。