中小企業の資金調達2

 融資の担保は、ほとんどの企業が不動産担保としているのが実情だろう。
 2005年版の中小企業白書によれば、中小企業向け貸出金担保の内訳によれば、85.7%と担保の大半が不動産となっている。
 バブル経済が崩壊した時期、ほとんどの企業が地価の下落に伴って融資額に見合わなくなった部分を回収されることになり、ニッチもサッチも行かない状況になった。
 金融機関側にとっては、不動産の担保評価は急激な下落がない限り、街中の取引事例が多い場所であれば、評価額を算出するのは簡単なことなのだろう。
 しかし、当時は、需要が人の心に左右されるような山奥の別荘や街中でも微妙な位置の不動産でさえも、結構いい値段で評価してしまっていたように思う。
 不動産を担保にした融資に限界がくると、社長を含めた役員やその家族、そして親戚知人からの融資を受けるケースが意外と多い。融資というより、借金をするといったほうがいいかもしれない。もちろん、その場合担保なしである。
 そして、経営に行き詰まると、親戚知人との縁まで切らなければいけないと事態になる。
 4、5年前にベストセラーになった「企業再生屋が書いた借りた金は返すな!」加治将一八木宏之共著:アスキーコミュニケーションズ刊には、次のように書いてある。

 最後にもう一つ、肝に銘じておいてほしいことがあります。
 それは、銀行の融資が受けられなくなって、仕方なく商工ローンや街金に手を出す場合でも、「絶対に親族を連帯保証人にしてはいけない」ということです。
 再起を図る場合、一番頼りになるのは親族です。助け舟を出してくれる親族を道連れにしてはいけません。縁者を巻き込むと、自分の居場所をなくしてしまうことになります。
 実際、上野公園や新宿駅の地下、隅田川の河川敷といったところで路上生活をしている人のなかには、親族に多大な迷惑をかけたという人たちが少なくありません。
 彼らは親族に合わせる顔がないから、そうやって逃げるしかなかったのです。
(中略)
 親類縁者を引きずり込んでの悪あがきは、もはや事業家がやることではありません。

 では、どうしても、資金調達をしなければいけない場合、どうしたらいいのだろうか?
 unizouは、少人数私募債を是非お奨めしたい。
 少人数私募債とは、非公募債あるいは縁故債とも呼ばれており、公募債(証券会社を通じて広く一般に募集される社債)とは異なり、少数の特定先が直接引き受けることによって発行される社債である。また、地方自治体が利息の補助をしているケースもあると聞いている。
 親族から借金をしても、その私募債の範囲内で貸倒れになる。
 金融機関やノンバンク、街金、サラ金から借りて、親族が連帯保証人になった場合は、高利な利息まで連帯保証人になった親族は負担しなければならなくなる。
 逆に、私募債で資金調達をして、きちんと返済すれば、今の普通預金の利息より多少ましな利率で返済を受けられる。貸した親戚も金融機関に預金しておくよりはましと言うことになる。
 J―Net21中小企業の法律コラム・Q&A<ベンチャーアベニュー>新会社法下における資金調達〜社債2006.03.23 弁護士 土橋央征によると、以前は、有限会社ではできなかったようだが、会社法の改正で有限会社でもできるようになったとのこと。
http://j-net21.smrj.go.jp/news/law/column/060323.html
 しかし、最終的には、事業がうまくいかなくなったときは、事業の撤退時期を判断し、きちんと清算することが、再起を図る上でも、人としても大事なことだと思う。