南の島のたった一人の会計士

 昨日の読売新聞朝刊の本よみうり堂に紹介された「南の島のたった一人の会計士:扶桑社刊」。
 著者は、慶応大学を卒業し福岡の大手監査法人に勤めてから、故郷の奄美大島公認会計士・税理士事務所を開業した屋宮久光さん。
 父親の死をきっかけに、「両親、奄美の自然と人々。私を育んでくれた故郷のために尽くしたい」と監査法人をやめて、「公共事業の依存体質が残る島では産業が育たず、人口は減り、経済は冷えている。」ところに舞い戻って、「故郷を豊かにしたい!」と立ち上がった著者の汗と涙の記録だそうである。
 その紹介の中で、次のような一文があった。

 帳簿はつけず、会社のお金と自分のお金の区別もできない、どんぶり勘定が当たり前の島の会社経営は「会計」以前。相談料を取ろうとすれば、「指一本も動かさずに、お金を取るなんて」とまで言われた。

 うーん。こういった中小企業は、本土にもたくさんあると思う。
 実際、unizouが見たり、聞いたりしたこともあった。
 簡単な話で言えば、家族で飲食したり、友達と飲食したりした場合も、もっと悪質であれば、PTAなどの集まりでディニーズに行ったお勘定でさえも交際費にしたりと・・・。
 こういった企業が後を絶たない限り、会社の健全性は未来永劫確保することができないだろう。
 なぜなら、そういうことでは、儲けるのにいくら掛かったかという真実を知ることができないからである。
 税金を安くするということのためだけにそういった工作をすれば、真実の会社の姿を見ることができず、結局、経営がうまくいっている間は良いが、そうでなくなったときには手遅れといったようになる。
 真実の姿を見つめ、対応策をとり、会社の利益を求めていく。
 そうなってこそ、健全な中小企業といえる。
 だから、言いにくいことだが、そのことを伝えていかなければいけない。
 同じように中小企業診断士にも求められている使命だと思う。
 著者の屋宮久光は、「特産のキビ酢や黒糖酒の販売ルートを拡大し衰退している大島績を再興したい。」という夢を持っているそうである。
 一度、読ませていただこうと思う。そして、同じように中小企業の発展を通して、地域社会に貢献できたらうれしいことだと思っている。