中小企業白書が面白いⅡ

 この前NHKテレビで見ていたら、派遣社員の時給が切り下げられるなど、景気が良くなっているものの派遣社員やパートなどに対するしわ寄せが大きいのが現実といった内容の番組が放送されていた。
 派遣社員は、昔は花形だった。会社に縛られずに、自分の技量のみで、会社に求められれば渡り歩いていくといった感じだった。会社の嫌な人間関係も、昇進のことも気にせず、また、好きな期間に休んで海外旅行でもしていればいいようなそんな雰囲気があった。
 誰でもが会社にいて嫌なことは、大方の人が、上司の顔色を伺ったり、同僚と出生争いをしたりすることだろう。
 そんな世界から離れられて、「自分の技量で生きていけるなんて、なんてかっこいいんだろう!!!」と、羨望の眼差しで見ていたというのが本当のところ。ただ、実際に、それを選択したかどうかは、人それぞれだったということだろう。
 今となって、「派遣社員に対するしわ寄せが大きい」と言われても、現実は景気が良くなったと言っても正社員さえバブル期の待遇を越えることはできずに生活をしている人が多いのだから、止むを得ないことと言えるのではないかと思うのだが・・・。
 派遣社員やパートの人にこんなきつい文章を書いているが、中小企業白書の「まとめ」を真摯に受け止めて、それぞれが生きていくことが大事なことだと思っている。

 この状況は、一面では、事業リスクに挑戦していく経営者が輩出される必要性が高まっており、また、その素地が整いつつあると考えることもできるが、現実には第3部第3章で述べたように、社会の中堅層を中心にリスク回避的志向が強まっており、経営者予備軍である開業希望者は全体的な数が減少している。日本社会は、今後、個人がリスクの中に事業機会等の各種のチャンスを見出していく環境を整備し、リスクに対して社会全体として適切に取り組んでいく必要があるだろう。
 現在の状況下で、将来について不安を抱く者が多く、また、学生等の若い世代が安定志向を持つことも理解できるところではあるが、政府としては、若い世代が正確な状況認識に基づき多様なキャリア形成を行っていくことができるよう、情報提供等に努め、リスクを取る者が努力に応じて報いられ、失敗してもやり直しのできる環境を整備していくことで、特に若い世代の希望や、機会の平等への信頼が揺らぐことのないようにする必要がある。
 未来は決して運命的に決定されているものでもないし、人生の「勝ち組」と「負け組」はこれまでもこれからも決して単純に決まるものではないことを想起し、改めて社会の中でそれぞれの主体が適正にリスクと取り組んでいくことが必要であること、社会全体としてリスクに取り組んでいくことが可能な仕組みを構築していくべきことを確認する必要がある。

 この「未来は決して運命的に決定されているものでもないし、人生の「勝ち組」と「負け組」はこれまでもこれからも決して単純に決まるものではない」の文章は、なんて情緒的で啓示的な文章だろう。だから、中小企業白書は面白い
 これからの時代、金持ちだからと尊敬する社会でなく、やっていることで評価することが一番大切なことだと思う。だから、お金を持っていないことを卑下することは全然ないと思う。金持ちだからと称賛することなく、本当は毅然と自分の人生のありようを楽しめば十分だと思う。
 そして、何より収入にあった生活をすれば、生きていけないことはない時代でもあると思う。
 そうして大いなる気概で未来を切り開いていけば、結果としてお金がついてくると思うのだが・・・。
 NHKで放送された派遣社員やパートに対するしわ寄せについて言えば、第3部 日本社会の活力と中小企業 第2章 中小企業と人材を巡る諸課題 第5節 中小企業の就業者1.人材確保の課題(1)就業先の選択理由には、次のような記述がある。

 だが、就業者が勤務先を決める理由を見てみると、このような賃金の多寡や福利厚生の水準は、必ずしも就業先を決める決定的な要因にはなっていない。「就業意識調査」から就業者が現在の勤務先で働くことを決めた理由を見てみると、割合が高い順に「やりたい仕事ができるから」(32.2%)、「通勤が便利だから」(30.7%)、「地元の企業だから」(23.2%)となっており、「賃金がよかったから」(14.7%)や「福利厚生が充実しているから」(7.0%)の割合は高くはない(第3-2-26図)。
 賃金や報酬よりも自己実現や生活を重視する個人意識・価値観の変化を背景にして、就業者は賃金だけでなく仕事の内容や拘束される時間(余暇の多寡)など、賃金以外の状況をも踏まえて勤務先を決定していると考えられる。

 皆さんは、どう考えますか?