中小企業白書は面白い!

 勉強会をしている若手と先週の木曜日に飲んだとき、シャッター通りの話題になった。
 ロードサイド店ばかり繁盛しているのがいいのか?
 アメリカを真似て大型ショッピングセンターを日本に持ち込んだことが良かったのか?
 今後、日本の中心市街地を活性化するのに、ヨーロッパで行われているやり方があうのかどうか?
 勉強会のテーマは、今は改正会社法、そして、これから、中小企業の資金調達について行う予定で、みんなはunizouが診断士の勉強をしていることは知らない。
 元々、今やっている仕事のバックボーンにと、診断士試験の一部である会社法や中小企業の資金調達を選んだだけで、こんな話題になるとは思っていなかった。
 そんな話をしてきたので、久しぶりに中小企業白書を見たくなった。
 以前にも書いたが、中小企業白書を見ると、日本の縮図を見るようで本当に面白い。
 どうしてこんなに面白いのかと考えると、一番の理由は、日本が多くの中小企業に支えられているということに尽きるかもしれない。
 例えば、unizouが診断士試験の受検に使った2005年の白書を見ると、2001年の企業数ベースで見た中小企業の数は4,689,609、全企業数の99.7%を占めている。ちなみに、2006年の白書では、2004年時点の企業数が公表され、4,326,342と減少したものの、全企業数も減少したため、全企業数に占める割合は99.7%と変わらなかった。
 つまり、日本の企業の圧倒的多数は、中小企業なのだ。
 だから、中小企業で行っていることが、社会だけでなく家庭のありようにまで話が及ぶことになっている。
 白書の構成を見ると、第一部と第二部は、中小企業経営に関する経済的な環境が中心となっているが、第三部になると、「人口減社会」「高齢化」「若者の就業状況」「家庭と地域社会の変化」「事業承継」「ニート」「児童虐待」「自殺」「格差社会」「女性の就業」「出産と就労」「フリーター」といった言葉が出てくる。
 こうなってくると、社会、家庭の縮図ということでなく、人生の縮図と言えるかもしれない。だから、面白いということか・・・。
 実際、unizouが診断士の資格を目指している本当の理由は、その辺にあるような気がしている。
 話が逸れたがシャッター通りの話しに戻ると、運よく?診断士になれたらやりたいのが、中心市街地の活性化。何とか一生のうちに一つ纏め上げられたらと思っている。
 そのことについては、2005年版白書のコラムにあるベルギー・ハッセルト市やイギリスのヒッチンの取組を参考にしながら、日本にあったやり方ができたらと思っている。

事例2-3-16 商店街の空き店舗対策に有効な荒れ地、景観対策課税制度:ベルギー・ハッセルト市
 ベルギーでは地域政府レベルの政令により、空き地、空き家の放棄防止を目的とした課税制度が施行されている。
 フランダース地域のハッセルト市では、1982年より景観対策の観点から美観を損なうような建物を放置させたままで修繕、改装など何も措置をしない所有者に対する解決策として制度を創設した。
 課税対象は景観上荒れている建物及び空いている建物、土地であって、具体的な適用は郊外の住宅、工場等が多かった。こうした措置により、1982年に450棟が課税対象となったが、2004年時点では20棟になっている。空き店舗のまま放置するよりは賃料を下げてもテナントを入居させようということで、都心部の空き店舗解消にも効果が出た。

事例2-3-17 日本と同じ課題を抱える小都市での、商店街再生に向けた取り組みを成功させたタウンセンターマネジャーの役割など:イギリス・ヒッチン
 小都市でのTCM(タウンセンターマネジメント)などによる商業集積のテナントミックスの再構築などにより、郊外大型商業施設の立地により衰退した中心市街地を活性化させた事例。以下に挙げる様々な成果は、タウンセンターマネージャーが情熱を傾け、地元住民、行政、商業者の共通認識を醸成し、1つ1つ課題をクリアし、達成をした。
〔1〕20年来、再開発を進め、町並みを整備。郊外の大型SC(ショッピングセンター)への対抗策として、地元消費者を取り込めるスペシャリティのある商業集積を目指してきた。大きな変化のきっかけとなったのは、ペデストリアナイゼーション(注)を導入し、歩行者専用道路と広場を確保したことであった。
〔2〕地権者、商業者によるイニシアチブ設立。民間商業者による会費収入の拡大。
〔3〕タウンセンターマネジャーによる初期の店舗誘致活動。以後、安定的な発展により大手企業も出店。店舗の入れ替わりも進む。
〔4〕活性化した商業環境に立地する個店で、環境維持のための維持費用等を支払わず環境のみ享受しようとするフリーライダー(ただ乗り)対策としてのBID導入に取り組むこととした。
(注)ペデストリアナイゼーション:商業店舗が密集しているハイストリートや商店街の中の広場、マーケットプレイスから自動車を追いだし、タウンセンターに歩行者専用の空間を確保する。

 と夢を見ていても、「診断士試験に受からないことには始まらない。」と反省・・・。
 受験生の皆さん、中小企業白書は勉強道具でなく、小説のように楽しんで読みましょう!
 そうすれば、受験勉強の苦労なんて少しも感じませんよ・・・?