イラクと米中間選挙

 7日投票が行われた4年ごとの大統領選の中間の年に行われる「中間選挙」は、民主党が躍進。下院で多数派となり、上院でも半数を獲得、共和党ブッシュ政権が敗北した。
 敗北の要因は、イラク戦争の泥沼化が大きな要因だという。
 イラク戦争が長引き、アメリカ軍の犠牲者の多さが、米国民には耐えられなくなってきたということらしい。
 マスコミは、戦争を惹き起こしたのはアメリカ、ブッシュ大統領であり、戦争が長引いたのも同様であるといった論調が多い。
 しかし、本当にそうだろうか?
 unizouは、戦争を惹き起こすのは、本当は、第二次世界大戦のときもそうだったように、国民そのものだと思っている。イラク戦争でいえば、つまりイラク国民なのだ。
 第二次世界大戦であれば、何でも、A級戦犯天皇、日の丸、君が代のせいにしてしまう人たちがいるが、戦争を起こすような国にしていた国民が一番悪いと思っている。
 誰かのせいにするのはたやすいが、本質を誤ると、同じことを繰り返すことになる。
 話をイラクのことに戻すと、最近では、テロによる死者が、アメリカ軍の犠牲者を含めてかなりの数に上るという。
 こんな状況は早く打破しなければいけないが、アメリカ軍14万人でイラクすべてを制圧できるはずない。
 すべてのイラク国民がテロに協力しないようにしなければ、アメリカ軍の犠牲者だけでなく、多数の自国民の犠牲者を出すことになってしまうのは必然のことだと思っている。

 今のイラクで治安を守るために、米軍は何人の兵力を必要としているか、過去のケースを参考に考えた試算がある。
 たとえば、第二次大戦後に米軍など連合軍がドイツに進駐したときは、ドイツの人口1000人あたり2人の連合軍兵士が配備されていた。ドイツには武装ゲリラ勢力がおらず、進駐軍は銃撃戦で治安を維持する必要はほとんどなかった。兵士の任務の大半は、闇市の取り締まりなど警察的な仕事だった。
 もっと混乱した状況の場合は、もう少したくさんの兵力が必要となる。1965年に米軍がカリブ海ドミニカ共和国に進駐したときは、ドミニカの人口1000人あたり6人を派兵した。かなり組織された武装ゲリラが進駐軍に対して戦闘を仕掛けてくる場合は、もっと多くの兵力が必要だ。北アイルランドに対してイギリスは、少ないときで1000人あたり10人、多いときで20人の兵力を進駐させていた。
 問題は、1000人あたり2人から20人までのこれらのケースのどれに一番イラクの現状が近いか、ということだ。明らかに、戦後ドイツのケースではない。イラクでは米軍を攻撃してくるゲリラ勢力があり、毎日のように米英軍の兵士が死んでいる。この治安の悪さは北アイルランドの状態に近く、1000人あたり10−20人の兵力が必要だと思われる。イラクの人口は2300万人だから、23万−46万人の兵力が必要だということになる。だが、実際にイラクにいる米英軍の総数は約16万人で、1000人あたり約7人しかいない。
イラク駐留米軍の泥沼 2003年8月6日  田中 宇
http://tanakanews.com/d0806iraq.htm

 結局、内外の批判を受けたせいで、アメリカは中途半端な戦力で治安の回復を行うことを得ない状況になってしまっていた。
 しかし、平和で住みやすい国にするのは、国連でもなく、アメリカでもなく、イラク国民そのものであって、助けている他国を批判するなんてもってのほかだし、お門違いもはなはだしい。イラク国民は、豊臣秀吉の刀狩(かたながり)*1のように武器を捨て、テロと対峙することから始めないと、一向に平和は訪れないと肝に銘じるべきだ。
 そして、マスコミは、イラクの自助努力の必要性をもっと強く報道すべきなのだと思う。
 平和や自由、民主主義を勝ち取り、それを未来永劫続けるためには、口先だけの生半可な言葉を操るだけでなく、多くの尊い犠牲があってというのは歴史の真実なのだから・・・。

*1:刀狩り)とは、百姓身分の者に武器の所有を禁止、没収した兵農分離政策で、特に安土桃山時代の1588年(天正16年)に豊臣秀吉刀狩令を出して大規模に推進した政策を指す(ただし、刀狩を最初に行なったのは柴田勝家である)。出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』