unizouの事例・・・日本の中小企業

 もうかれこれ、5年以上の・・・、ずいぶん以前の話しになる。
 ある女性が経営する建築会社のことで、相談を受けたことがあった。
 その会社は、住宅の建築会社。
 女性は50代後半。会社の代表者になっているが、実質は町の議員をしている夫が経営している。そして、従業員は夫の弟。 以前は、ほかに従業員が数人いたというが、経営が苦しくなったので解雇し、今では、3人でやっている。仕事の多くは、外注に回す部分が多いので、3人でも1軒家を建てるのには支障がない。
 家族は24歳の娘を筆頭に、22歳の息子、20歳の娘、17歳の息子。そして、夫の母という構成だった。
 その女性の相談というのは、会社の決算書は黒字になっているが、どうしても、資金繰りが苦しいというので、融資と今後の経営について相談にきたものだった。
 彼女は経理も見ているが、記帳ができる程度で、そんなに経理について詳しいわけではないと言う。
 「どうして、決算書に多少でも未処分利益(数万円だったと思う)があるのに、資金繰りが苦しいの?」
 「確かに、決算書は、黒字になってるが、黒字になっていないと、金融機関の融資も受けられないし、融資を受けた金額を売上に上げたりしているケースもある。」
 「それでは、粉飾決算になる。」
 「ええ、それは、分かってるが、そうしないと、会社の資金繰りがうまくいかない。金融機関以外にも私の親族から借りたり、高金利なノンバンクから融資を受けたりしている。」
 「それでは、解決方法にならない。きちんとした手を打たないと・・・。旦那さんは、こう言う窮状を知ってるの?それに、必要であれば、家族全員の協力を得ないと、夜逃げをするような状況になってから知らされても、子供たちから『何で、相談してくれなかったの?』という話になる。」
 「それは、分かってる。でも、夫は、知らないわけではないが、商売には向いていない人。仕事はいい仕事をするが、採算にはまったく合わない仕事もある。また、会社の売上が伸びるというシステムがいいと言われると、会社の状況に関係なく購入する。また、営業を担当する従業員を2名、1000万円もの人件費をかけて雇用し、売上を伸ばすことなくその後、解雇したということもある。子供たちに話すのは、ためらいがある。」
 「会社は、ボランティアではない。もっと、しっかり、経営の中身を考えないと・・・。」
 「そうしたいが、30年近い夫婦で、夫の性格も分かっているし、言っても聞かない人。(彼女の目には涙があふれ出てきた。)」
 これが、日本の個人企業ともいえる中小企業の実情なのではないかと思う。
 確かに、大企業に近い中小企業もあるだろうが、現実は、この女性が経営する会社に近い会社がほとんどなのではないかと思っている。
 こういった会社、コンサルタント料などもらうのも忍びないと思えるが、実際には、もらえないという現実のほうが近いかもしれない会社に、中小企業診断士が出会う機会はあるのだろうか?
 しかし、こういった企業が日本の国を下支えしているようにunizouは思っている。
 できれば、こういう企業に、「経営のやり方」を教えていきたいというのがunizouの本音。
 そうして、そういった会社がunizouのコンサルティングを受けて、一流の中小企業に変貌することを夢見ているのである。