50年、70年?

 7/13付ブログで著作権について、「1953年問題」と題して書いた。
 1953年は、映画の当たり年とされ、「ローマの休日」、「宇宙戦争」などの名作が相次いで公開された。旧著作権法では、映画の保護期間は公開の翌年から50年とされていたが、2004年1月1日施行の改正法で70年に延長された。このため、1953年公開作品については、保護期間が50年なのか70年なのかを巡り、見解が分かれていたのだが、東京地裁は、「著作権の保護期間は満了している」として、保護期間50年との結論をだした。
 そんな中、「著作権問題を考える創作者団体協議会」が、文芸、美術、音楽など映画以外の著作物に対しても、著作権の保護期間を死後70年に延長するよう求める声明を発表し、文化庁に法改正を求めた。
 欧米諸国の大半が、映画以外の著作物も保護期間を死後70年とする中、同協議会も、「国際的レベル」である70年への延長が、創作者の意欲を高め、知財立国の実現にもつながると主張している。
 ふと、50年がダメで70年が妥当であることのライン引きはどこでなされているのだろうかと思った。これは、1953年問題のときにも感じたこと。文化庁のHPによれば、旧著作権法時代の著作権の保護期間は、死後30年(暫定延長の結果最終的には実名の著作物は死後38年まで延長)までだったそうだ(http://www.bunka.go.jp/1tyosaku/frame.asp{0fl=list&id=1000002923&clc=1000000081{9.html}。
 世の中、同じことを考えている人がいるものだ。それは、wikipediaにあった。
 まず、他の知的財産権(商標権を除く)と比べて、著作権には非常に長期の存続期間が認められていることを指摘、20歳で著作物を創作した著作者が80歳で死去した場合、その著作物の著作権の存続期間は110年に及ぶという。
 長期の保護期間が認められる理由は、特許権実用新案権の対象である技術的思想や、意匠権の対象である意匠(工業デザイン)とは異なり、著作物はその創作的価値が陳腐化しにくいと考えられていること、長期間独占権を与えたとしても新たな著作物の創作を阻害しないと考えられていることなどが挙げられるそうだ。
 しかし、知的所産に対する独占権を一定期間の後に消滅させ、公衆の自由な利用に供することは、各知的財産法の法目的(各法1条)達成には欠かせない過程である。この理は著作権法においても例外ではない。Wikipediaの最後は、著作権の長期の存続期間の妥当性については常に議論がなされていると締めくくられていた。
 他の知財とは違う独自路線を歩む著作権。妥当な存続年数も明確な議論はされていないようだ。法律で定まっているからと言ってしまえばそれまでだが、映画だけ70年というのも、なんだかおかしい。
 こんな、平等なようで不平等なことって、意外と世の中多いよな。