カブトムシvol.2

 カブトムシの死骸が大木の根元に無造作に捨てられていた話を書いた。
 季節柄だろうか、unziouが好きな読売新聞のくらし面にも読者からカブトムシのことについて33歳のお母さんから文書が寄せられていた。それはこんな文章。
 「6歳の長男は、カブトムシを育てる電子ペットのゲームに夢中だ。エサをあげずに死んでしまっても、すぐに卵が現れ、幼虫が生まれる。この夏、本物のカブトムシのつがいをもらう機会があり、息子は大喜びで飼育を続けた。そして、9月、カブトムシの動きは鈍くなり、今日、動かなくなった。私は息子に「涼しくなって死んじゃったのかな?」と言ってみた。息子はキョトンとし、気にとめていない様子。私はカブトムシに向かって、「今までありがとう。」と言った。すると、息子はびっくりした顔で「どうしてお礼を言うの?」と聞いた。私は、「カブトムシのおかげで、一緒に遊べて楽しかったし、怖がらずにつかめるようになったでしょ」と言った。息子は少し考えてから神妙な顔つきになり、次第に声を上げて泣き出しだ。私もつられて涙が出た。私の言葉の意味が息子に伝わり、虫の死を受けとめ、理解してくれたらしい。とてもうれしかった。命の尊さを教えてくれたカブトムシが息子に与えた影響は大きかった。」
 この投稿を読み終えて違和感を感じた。
 まず、今の男の子は6歳で既に電子ペットのゲームに夢中であることに驚いた。
 そして、本物のカブトムシが死んでしまったとき、すぐにその事実に気付けなかったことに更にびっくりした。
 お母さんの文章には、後段に、息子がカブトムシの死を受けとめ理解してくれたと息子の成長に感動している様子が書かれていたが、unizouにはこの文章を読んで、そこまで説明しないと現実の死を理解できないのかと少し危機感すら覚えてしまった。
 この子は本当に死を理解したのだろうか?
 電子ペットは、死んでもすぐ卵が現れ、すぐにも生き返るかのようなスピードだ。
 本物のカブトムシは2度と目を覚まさない。卵も現れない。
 電子ゲームを子供に与えるタイミングの難しさを感じずにいられない。