コンビニとフランチャイズシステム

 残念なことに、結構頻繁に使って便利だった近くのコンビニが閉店した。
 昔はだんなさんがサラリーマン勤めをし、その奥さんが内職みたいに雑貨屋のようなお店を出していた。そういったお店は財務も在庫管理もなく、儲かったかも儲かってないのかも皆目わからない状況でやっていたように思う。資金が足りなくなれば、だんなさんの給料からやりくりして、商売を継続していたのだと思う。
 そんな店に比べれば、コンビニは商売の体をなしていて、unizouは、小売業はこうあるべきだと思っていた。
 ところが、よくよくコンビニの状況を見てみると、開店したり、閉店したりが激しい業界のようだ。
 よく言う「人の入れ替わりが激しいところは問題がある」といって何らかのトラブルが発生しているケースが多いように、「お店がこんなに頻繁に開店したり、閉店したりするのも同様なのでは・・・?」と最近は思うようになっていた。
 そして、一方では、コンビニ業界の本部が毎年好調な業績を上げているということにも不信感が湧いていた。
 インターネットを検索すると、今年の1次試験の中小企業経営・政策でも出たコンビニのフランチャイズシステムの一つ、粗利分配方式に問題があるという。
 コンビニでは、ほとんどのチェーンで「荒利分配方式」とか「売上総利益分配」という方式で本部・加盟店間の利益分配が行われていて、加盟店は本部に対して売上総利益に一定率(50%等)を乗じた金額(チャージ、ロイヤリティー、フィーなどの名称)を支払う約束となっているという。
 ところが、利益分配の対象になっている売上総利益の算出方法で、現在ほとんどのコンビニチェーンでは、「売れ残りの弁当・おにぎりの原価金額(廃棄ロス)や万引きなどで喪失した商品の原価金額(棚ロス)」を、売上総利益に含めて計算していて、結果として、加盟店はこれらの廃棄・棚ロスの仕入れ代金を支払うほかに、これらのロスからさらにチャージが取られるという二重払いを強いられているというのだ。
 「フランチャイズ・コンビニの裏側(1)売れ残り、万引き被害にも「チャージ」の怪」から抜粋。http://www.janjan.jp/business/0603/0603271508/1.php
 そして、昨年の2月にはセブン−イレブンジャパンが、東京高裁で行われた、この粗利分配方式に関する不当利得請求訴訟控訴審で敗訴したという。
 この裁判の争点となった会計問題については、過去に公正取引委員会も実態調査を行ない、その特殊な会計計算については「フランチャイズ・コンビニに関する独占禁止法上の考え方」という新ガイドラインにも明記していて、また、今回の裁判では、税法学者や税理士、会計士も加盟店側に立った鑑定書や陳述書を提出し、セブン−イレブン本部の加盟店会計の詐術性について論証したという。
 一方、診断士協会では、一流企業の (1) 店舗管理、( 2 ) 店員管理・教育、( 3 ) クリンネス、( 4 ) 競合店比較調査などを体得するために、平成18年度第2回ファミリーマート店舗診断を実施するという。
「平成18年度第2回ファミリーマート店舗診断実施のご案内」http://www.j-smeca.or.jp/
 (社)日本フランチャイズチェーン協会の「フランチャイズ」の定義には、

 フランチャイズとは、事業者(「フランチャイザー」と呼ぶ)が他の事業者(「フランチャイジー」と呼ぶ)との間に契約を結び、自己の商標、サービスマーク、トレード・ネームその他の営業の象徴となる標識、および経営のノウハウを用いて、同一のイメージのもとに商品の販売その他の事業を行う権利を与え、一方、フランチャイジーはその見返りとして一定の対価を支払い、事業に必要な資金を投下してフランチャイザーの指導および援助のもとに事業を行う両者の継続的関係をいう。

とある。
 unizouには、(社)日本フランチャイズチェーン協会の定義にあるとおり「両者の継続的関係」が成り立ってこそのフランチャイズシステムだと思う。
 お店が開店・閉店を繰り返しているようでは、オーナーの恨みを買い、いずれ本部企業は成り立たなくなっていく気がしてならないように思う。
 診断士が助けるべきは、オーナーの側であることは明白であり、そうすることで結果としてコンビニ本部が救われることになると思う。
 コンビニ本部は過剰な商品開発を止めたらどうかと思う。できれば、その分、利益をフランチャイジーに還元してあげるべきだと思う。
 新しい商品が店先に並ぶ裏側には、フランチャイジーのオーナー夫婦のちっとも良くならない重労働があるのだ。
 おいしいなんて食べている場合じゃない!!!
 診断士協会も、コンビニ業界に対しては、店舗診断よりもっとやるべきことがあるのにと思うのだが・・・。