ブタにワイン

 9/7の朝日新聞に、在庫商品を担保に資金を貸し出す中小企業向け融資が広がり始めてきているとの記事が掲載されていた。
 日本では土地などの不動産を担保にするのがまだまだ大半ではあるものの、売掛債権担保融資や在庫担保融資など動産を担保とした融資、いわゆるアセット・ベースト・レンディングは、「事業のライフサイクル」に着目した新たな金融手法として、中小企業の資金調達の多様化に寄与するものと期待されて導入されたが、その実例が少しずつ聞こえてきた。
 商工中金のHPで紹介されていた取組事例は、平成18年3月、有限会社十和田湖高原ファーム(秋田県鹿角郡)に対し、ICタグで管理されたブランド豚、「桃豚」1万頭を担保に極度額2億円の融資枠を設定したというものや昨年9月、福岡県で辛子明太子などを販売する海産物卸会社西昆に対し、昆布や煮干しを担保に5千万円の融資枠を設定したというもの(http://www.shokochukin.go.jp/outline/jisseki03.html)。
 融資の決め手は、堅実な在庫管理がされ、顧客の信頼を得て安定的に商品を売れる見通しが立っていること。文字通り、不動産は、動かない資産であるため査定しやすいが、動く資産の価値は見極めにくい。そのネックを個体識別用のICタグによるブタ1頭1頭の管理でクリアした。
 ほかにも、商工中金ではワインや紳士服を、南都銀行ではそうめんを、十六銀行では服地を担保に融資枠を設定した例が紹介されていた。
 各担当者は、この在庫担保融資は、これまでの不動産担保では難しかった会社にも融資が可能になったとコメントしていた。
 今後、いっそうの普及のためには、課題もある。それは、担保となる在庫商品の価値を不動産並みに見極め、担保価値をしっかり査定できる専門会社の育成だ。まだ国内では数社を数える程度しかない。
 不動産鑑定士ならぬ動産鑑定士なんて資格もできるのかもしれないな。