事例のモデル

 資格の学校で、土曜日に受験した2次公開模試の復習をしている。
 事例問題を解いていると、その事例のモデルとなっているのでは?と思い当たる実在の会社がある。
 今回もあった。
 事例Ⅱの「マーケティング・流通を中心とした経営戦略および管理に関する事例」だ。
 それは、鞄を専業とする製造小売業(以下、出題された事例の内容)。
 このB社は、一時的な流行に動じない、強固な経営理念のもと、良質な素材と職人技術が産み出す高品質で多様な商品のラインアップを有し、商品の手入れ方法を説明するなど丁寧な接客につとめ、メンテナンスや修理にも充実したサポート体制をもっていたことから、B社のバックを信頼し、末永く愛用する固定客に支えられ、順調に成長してきた。
 しかし、これまで使用してこなかったロゴ「β」を商品に搭載したところ、あるファッション誌に「βブランド」が取り上げられた。これを契機に、ブームが起こり、客層がガラリと変化。バックの性能や価値よりも、流行っている物ならとびついて、飽きたらさっさと逃げて行く、そんな若い世代の女性になってしまった。
 そして、ブームは潮が引きように去ったが、街には「βブランド」をもつ女性が一般化、品質にこだわって買い求めていた以前の固定客は、B社から離れて行った。
 この流行への対応をミスったB社は、その後、自社のあり方を足元から見つめなおし、以前の品質を重視した固定客向けのロゴなし商品を復活させるとともに、客層を住み分けて、βブランドも若い女性向けに併存させることにした。
 この事例を読んで思いついたのが、横浜元町の老舗バック屋「キタムラ」だ。もう10年以上前、ロゴ「K」のついた鞄がものすごく流行った。皆、横浜までバッグを買いに走ったが、その後、都内の百貨店でも買えるようになった。この大ブームはしばらく続いたが、直に去っていった。
 その後、キタムラには、相続による跡取問題が発生。訴訟の結果、『キタムラ(http://www.motomachi-kitamura.com/)と『キタムラ・K2(http://www.kitamurak2-shop.com/kitamura-k2.htm)』に分裂してしまった。
 『キタムラ』は、創業者直系の次男が、『K2』は直系の長男が継いでいるもので、『キタムラ』側には母親がついているため、“長男が独立(仲間割れ)して設立したのが『K2』”というのが一般的な見解らしい。でも、長男が独立するときに、職人さんも元々の会社から一部引き連れて独立しているので、技術的には両者は変わらない。
 事例問題にはここまで、取りこまれてはいなかったが、あれは絶対『キタムラ』だとunizouは思っている。