街づくりと駐車場

 7月1日から施行された改正道路交通法の駐車取締りについて、駐車場のない飲食店などや配達業者などから新聞に苦情が載っていることが多くなった。
 先日も読売新聞の気流欄に、「駐禁摘発強化で食堂の閉店決意」と、駐車取締りによって閉店せざるを得ないほど売上がダウンしたと、飲食店を経営する人から投書があった。
 その投稿では、「違法駐車がなくなることは大賛成ですが、街の活気が奪われるとしたら納得できません。地域事情を十分に考えた上で、取り締まりを行って欲しいのです。」と訴えていた。
 それを読んで、しばらく前のことになるが、持ち帰り弁当屋で弁当を買っていたときのことを思い出した。
 その時、持ち帰り弁当屋は大盛況で、用意してあった駐車場は一杯になり、来店者は店の前を通っている幹線道路に駐車してしまい、結果として幹線道路は渋滞になってしまった。すると、一軒置いた隣の飲食店から店主が出てきて、持ち帰り弁当屋に入った。「これだけ、繁盛しているのだから、きちんと駐車場を用意しろよ!それが務めだろ!」と怒鳴り声を上げて帰っていった。店の中では「すみません・・・。」という女性店員からの小さな声。
 同じように「食べ物」を扱うことからのやっかみか?、真意は知れないが、確かに一理あると、聞いていたunizouも思わず心の中で頷いていた。
 その後、その弁当屋は、駐車場を拡張し、何台かの駐車スペースを確保した。最近では、駐車できない車が、道路にあふれていることは少なくなった。
 確かに怒鳴り込んだ飲食店主が言うように、商売をやる以上、駐車場を用意するのは当たり前のことかもしれない。
 もし、駐車場を用意しないで商売をしていたら、まじめに駐車場を用意している人との間にコストの差が出て、駐車場を用意しないことで売価が安くなり、結局、不公平な競争になってしまう。
 一店で用意できないのであれば、共同の駐車場を協力して用意すべきなのかもしれない。
 行政としても、警察による駐車取り締まりと平行して、共同の駐車場を確保するための施策を実施していく必要があるだろう。
 こういうことでも、中小企業経営・政策で習った街づくりの難しさを感じる。
 駐車場一つとっても、個店の利益ばかりに囚われて、街全体の活性化が図れないことになる。
 本当は、行政の強力なリーダーシップが必要なのだろう。
 行政の強力なリーダーシップを発揮しても、個店の利益ばかりに目が奪われている人が多く施策が実施できないなら街はシャッター通りになり、活性化へ向けた街づくりは難しいだろう。
 しかし、それはそれで、個店の利益に囚われてしまった、自業自得といえるかもしれない。
 どこかの街で諸外国のようにパーク&ライド方式を思い切って取り入れ、環境にも、人にも優しく、そして、街が活性化したという事例を作ってみてはくれないだろうか?
 それにしても、いつも思うことだが、日本は何をやるにしても、妥協の産物で中途半端な結果になり、やってもやらなくてもさほど変わらない、いや結果としてはやらなかったほうが良かったということが多すぎると感じるのは、unizouだけだろうか・・・。