酒屋(昨日の続き)

 昨日、特定非営利活動法人酒類業フォーラムを紹介するチラシに、「国税庁委託事業・酒類小売業者のための『経営相談サイト』を開設していることについて書いたが、その続きを書こうと思う。
 実は、unizouが診断士になったらコンサルタントをしてみたい業種というのがいくつかある。
 いつも取り上げている農業、運輸、温泉旅館などが関心のあるところなのだが、その中に酒類小売業、いわゆる酒屋が入るかどうかはunizouにとっては微妙な情勢なのである。(もちろん、unizouに関心があっても、コンサルタントして欲しいという人がいなければ意味がないが・・・?)
 その理由は、もう既に手遅れという感じがしているのが一つ、そして、業界全体の雰囲気として、経営者に、経営の改善を図ろうという気がないのではないかと感じていることが一つにある。
 しかし、酒類小売業界の業績低迷の原因を経営者だけの責任とするのは、非常に酷な話かもしれない。
 というのは、unizouはいままで酒類業を指導してきた国税庁のミスリード、日本社会の風土も大きな要因ではないかと思うからである。
 国税庁のミスリードとは、酒類販売の免許制度*1をずっと維持してきたために、業界全体に甘えの構造をもたらしたこと。
 日本社会の風土とは、選挙のやり方の一言に尽きる。
 昔の選挙では、国政選挙でも地方選挙でも、選挙事務所にはたくさんの酒が届けられていた。候補者も、酒を購入することで、酒屋の家族や周辺の人から集票できたし、今みたいに誰もが居酒屋に行くという時代ではなく家で酒を飲む時代では、選挙事務所のただ酒は、選挙応援者にとっては魅力的なものだったのだと思う。
 結局、酒屋にとっては、選挙の度にミニバブルとなって収入が増え、選挙が多いに越したことがないという感じだったと思う。
 
 その酒類販売免許は、この9月から全面的に自由化されることとなったそうだ。与党が酒類販売の新規出店を一部地域で制限していた「酒類小売業者経営改善等緊急措置法」を再延長しない方針を固め、特例措置が8月末に失効することが確実になったためだという。
 9月以降はスーパーやコンビニエンスストアなどが全国各地で酒類販売に参入できるようになる。
 03年9月から2年間の時限法だったが、個人経営の酒店などを中心に再延長を求める声が出て、05年8月に1年間の再延長が決まった。しかし今年は、特例措置を政界に働きかけてきた中小酒販店の業界団体、全国小売酒販組合中央会(本部・東京)が、元事務局長の業務上横領事件に伴い1年間、政治活動を自粛し、政府・与党が18日までの通常国会の会期を延長しない方針を固めたため、法案提出が間に合わず、時間切れとなったのだという。
 酒類小売業者にとっては、これで息の根を止められたような感じだろう。
 ・・・。
 しかし、unizouが利用する駅の近くに立地するそごうのデパ地下にある酒屋は、なぜかいつもにぎわっている。もちろん、そごうの中での営業という強みや現在のデパ地下の盛況ぶりの恩恵に預かっていることも事実だと思うが、店に行って酒の種類や質を見てみると、それだけが原因ではないような気がする。
 日本酒の豊富さだけでなく、ワイン、ビールなども、価格の豊富さと質の豊富さ・・・。
 それらが、真に繁盛している理由かもしれない・・・?
 きっと、コンビニやスーパーでないと、酒屋の商売が絶対に成り立たないというわけではないのだろう。
 俄然、地方の酒屋に行くと必ず目にする、商品にかぶった数ミリのほこりが、経営者のやる気のなさを示しているとすれば、そうでない経営者の人たちの力にはなれるかもしれないと思い始めているのも事実である。

*1:酒類販売は、もともと人口当たりの免許枠などの制限があったが、2003年9月に規制が撤廃され、原則自由化された。ただ、経営に大きな影響を受ける一部地域の中小・零細の酒店を保護するため、自民党などが同年、「多くの小売店の経営が困難に陥っている」など一定の条件を満たした全国1274地域(地域は原則、市町村単位)を対象に、例外的に出店を規制する特例措置を議員立法で定めた。