「本のソムリエ」と診断士

 診断士の勉強に毎日追われていると、読書する時間がとれない。
 読書家ではないが、もう少しゆったり、本を味わえたらと思う。
 そんな毎日に、読書をそそるのが、読売新聞に毎月1回(?)日曜日に掲載されている「よみうり堂 本のソムリエ」というコーナー。
 いろんな方が、購読者の「こんな本が読みたい」という本を紹介してくれるコーナーなのだが、これが、まず、回答者の博識振りに驚かされるのだが、購読者の質問もおもしろい。
 6月18日(日)のコーナーには、「つまらない毎日」と「『良妻』」見て嫌悪」という二つの質問が掲載されていた。
 「つまらない毎日」は、「家と職場の往復のつまらない毎日に、これからの人生を意味あるするものに、自分に投資できる本を紹介して欲しいというしがない30代女性」の方からのもの。
 「「『良妻』」見て嫌悪」は、「NHK大河ドラマ 『功名が辻』を見て、家事もやりくりも苦手な自分が腹立たしくなるので、心から快哉を叫ぶことのできる悪妻モノの本を紹介して欲しいという主婦管原初代さん」という方からのもの。
 いかにも、現実世界に五万とあるような、誰もが持っているような悩み。当たり前すぎて人に聞いても答えてくれそうにないし、聞いたとしてもありきたりのことしかかえって来そうにないようなこと。本には、きっと、想像もできない意味のあることが書いてあるのでは?と思ってしまう。
 「つまらない毎日」には、青山学院大学生命科学福岡伸一教授が回答している。

 「人生を楽しく明るい意味あるものにするには?日常生活の中に「きみ」と呼びかけうる存在をもつことです。それは、恋人だったり、子供だったり、街であったり物であってもよいのです。あるいはスナネズミであっても。スナネズミ?」

 なるほど。自分にばかり問いかけていては、確かにつまらない。

 「そうです。どんな些細なことにも新しい発見があり、センス・オブ・ワンダーの契機があります。」

 そう何気ない街並みや花や動物たちにも、問いかけたくなることがたくさんある。

 「大竹昭子さんの近著『きみのいる生活』(文芸春秋)は、都会に住む人間と小動物の驚くべき、そして実に愛らしい共生の記録です。同じ著者には、身近な都市の街路を探索する『東京の山の手ハイカラ散歩』(平凡社)があります。つまらない毎日の家と職場の往復も、少しだけ上下に移動すれば、つまり時間の軸を持って眺めてみるときっと、もっと知りたいこと、調べてみたいことがたち現れてくるはずです。そこから旅が始まります。新しい趣味や挑戦をゼロから見つけることはできません。今後の人生、あなたを豊かにするものは、あなたの内部に始まっている何かです。」

 だんだん年を重ねるごとに、学生の頃には義務にしか思わなかったような勉強が、今では、知識を飢え求めているというくらい、「もっと知りたい、もっと調べてみたい」と思うようになった。
 だから、退屈はしていない。人も物も、「もっと知りたい、もっと調べてみたい」対象。
 この世とは、なんと不思議なところで、想像もできないところだろうと思う。
 「神は、なんと不思議な世界、人を創り給うたか?」という感じである。
 診断士の勉強も、そんな延長線上にある。
 何かにトライしようとするきっかけも、気持も、すべて、自分の中のマッチ棒に火をつけることから始まると、最近、つくづく感じている。
 近いうちに必ず、「本のソムリエ」で紹介されたいろんな本を、じっくり味わいたいと思っている。