北朝鮮と中国

 一昨日、北朝鮮が、拉致された横田めぐみさんの夫韓国人拉致被害者、金英男(キムヨンナム)さん(44)=拉致当時(16)=の「所在を確認した」として、家族と金剛山で面会させる方針を韓国側に突然通知したという。
 そして、母親の崔桂月さん(78)はソウルで会見し「息子の顔をなでてやりたい」と述べたという。
 何とも言えない無力感に襲われる・・・。
 そして、横田滋さん早紀江さん夫妻の怒りと悔しさは如何ばかりかと、心が痛む。
 02年9月17日に小泉首相が電撃訪朝したときから、この9月で丸4年が経つ。
 今では、当初の希望は、粉々に砕け散ったかのようである。
 今回の件だけを見ても、北朝鮮の姑息さに辟易すると同時に、ここまでこけにされても普通の国と同じように対応しようとしている人たちの神経が知れないと、情けない気分になる。

 産経新聞では、経済同友会小泉首相靖国神社参拝自粛などを求めた「今後の日中関係への提言」を採決した幹事会の詳細について報じていた。
 経済同友会証券取引法違反インサイダー取引)で逮捕された村上世彰氏、一体何が違うのだろうか?・・・という疑問がunizouの頭の中を駆け巡る。
 村上世彰氏を肯定も尊敬もしていないことを断った上で言うのだが、儲けのためなら何をしても良いのかということで論ずるのであれば、経済同友会のほうがずっと悪質極まりないではないか・・・。
 中国は、中国の国益(一体主役は誰?)のために、自国民も、そして他国も他国の国民も、情報統制や圧力で威嚇し、犠牲を強いている。
 産経新聞では、「『経済優先で他国の言い分を丸のみした提言はいかが』という批判が増幅するのは不可避だ」とも報じていた。本当にそのとおりである。

 二つの報道について言えば、unizouの一番の関心事は人権である。
 両国では、自由もなく意見を言う権利もなく、現体制に虐げられている人たちが大勢いる。
 今のままでは、その人たちは、きっと、救われないまま一生を送ることだろう。
 拉致問題を早期に解決するためにも、真の友好を結べる国になるためにも、今後は、日本政府として、日本国民として毅然とした対応が必要ではないのかと強く感じている。
 折しも、ジャーナリストの櫻井良子さんが、6/8の産経新聞の「小泉首相に申す」で、「靖国での妥協も、経済援助も、日本側はそれを日本の中国側に対する“誠意”と考える。しかし、中国にその誠意は届かない。中国から見れば、日本の誠意は、中国の力への日本の屈服でしかない。眼前の状況の改善に汲々とし戦略を欠く日本は、徹頭徹尾、戦略の国、中国に翻弄されるばかりだ。」と述べている。
 国であれ、会社であれ、組織となると、見えない部分が必ず出てきて、権力者が恣意的に動かすことになる。大抵の人間は、一人ひとりでは表立ってさほど悪いことはしないが、どういうものか、一旦権力を握ると、権力者は誤った方向へ世の中を動かし始める。中国は人ではなく共産党が、北朝鮮金正日が・・・。戦前の日本でも同じようなものだった。権力者だけが悪いのではなく、国民みんなが無知で、権力者が誤った方向へ世の中を動かすのを後押ししたのだと思う。力を持った人間も、そして、持たせた人間も、結局両者の責任なのである。
 だから、どんな組織であれ、権力者を信用したシステムにしてはいけない。そうならないようにするためには、誰からも見える透明な制度を作る必要がある。
 会社も、行政も、そして政治も然りであり、すべての組織に通じることである。「人間は利己的に動く。」ことを前提にしたシステムを作らないと、不幸な結果は人間の行動すべてに生じる。

 中国と北朝鮮が、一刻も早く誠意のある国家になって欲しいと願っている。
 そして、横田夫妻がめぐみさん(他の拉致被害者のご家族も同様に)を強く抱きしめて上げられるようにと・・・、強く祈るばかりである。