診断士受験と毒まんじゅう

 診断士試験の受験申込書を書いた。
 今までにも、いろんな受験申込書を書いたが、久しぶりに緊張して書いた。
 資格の学校に通い始めた頃に比べると、今では「受かりたい!!!」と思う気持が格段に強くなって、「申込の段階でミスをしたら・・・?」と何度も見直してしまう。
 受かったからと言って、すぐに、今の会社を退職するわけではないが、新しい自分に出会えるような、そんな期待がある。
 会社に縛られている訳ではないが、収入の面から言えば、今の会社を放り出させられたら生活はしてはいけないだろうし、身一つで生きていくには、ちと自信がない。
 中小企業診断士の資格を取れば、収入のことについて確かなことは言えないまでも、自信だけは付くような気がしている。
 「会社に縛られる」と言えば、社宅について、会社の同僚から聞いた話。
 ある社員(仮にA社員とする)が、社宅に入って、家族4人で生活していたという。
 ところが、その妻が親しくしていた同じ社宅の奥さんとトラブルになって、社宅を出てしまった。今は、別の社宅近くにマンションを借りて生活しているのだが、やはり、家賃が高く、補助だけでは生活が大変だという。
 ある日、A社員から、同僚に電話が掛かってきて、次のように話した。 

 もう生活が大変なんです。
 妻が、近くの社宅を見に行って、数件空いているようだといってます。
 なんとか、早く入居させてもらえないのでしょうか?
 自分の小遣いも減らされている状態でして、・・・。

 しばらく前のブログで、「部下を動かす人事戦略」【PHP新書刊 著者:金井壽宏/高橋俊介】という本について紹介した。
 その本に、従業員は、「会社の差し出す毒まんじゅうは食うな!」という言葉を、肝に銘じて欲しいということが書いてある。
 では、毒まんじゅうとは何かというと、会社が費用をもつ海外視察旅行、上司が飲み食いさせてくれる社内接待などが、その典型。仮に上司が宴席の費用を払ってくれても、それは会社の経費。別に上司が腹を痛めているわけではない。ただで飲み食いさせてもらった負い目は残る。そして、社内で上司に命令されたら、逆らえないという気持になる。
 もっとも、巧みな毒まんじゅうは社宅である。
 安い家賃で住めるから、生活レベルが上がってしまう。そして、いざ転職となると、社宅を出ることを考えると、思いとどまってしまう。
 こうして、自分の価値観やこだわりを捨てさせられる。次に私生活や家族と過ごす時間が犠牲になる。そして、毒まんじゅうが体にまわると、違法なことや非倫理なことも、会社のためだと断れなくなる。これを防ぐには、「自分は会社に対し、貸しも借りもつくらない」という強い意志持つ以外にない。あとは誇りを持ってやること。
 毒まんじゅうを食べるのを拒否して、それで不利な扱いを受けるのであれば、そんな会社はさっさとやめる。
 社宅を借りようと一生懸命のA社員、一体、これを読んだらなんと思うだろう?
 A社員が、会社が社宅を貸すのは当然と思っていて、感謝の気持ちもなければ、毒まんじゅうも効き目はないかもしれないが・・・?