組織暴力vol.2

 昨日は、会社法番外編として、組織暴力について書いた。
 今回は、前回の「組織暴力」のブログの第二弾を書こうと思う。
 この国の諸悪の根源は、絶対存在してはいけないものが、のうのうと存在していることであり、それを誰もがおかしいと思いながら見て見ぬ振りをしていることである。
 unizouは、その諸悪の根源とは、「暴力団」だと思っている。
 昔の任侠の世界に生きていた「清水の次郎長」や「国定忠治」のような存在とは明らかに違う存在になった「暴力団」の存在こそが、社会や経済にひずみを生み出していると思っている。
 フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』によると、「ヤクザ」の起源は、次のようなものだそうだ。

日本の「ヤクザ」は元々「博徒」と「テキヤ」の二つの起源を持つといわれる。博徒の起源は平安時代、「任侠の徒」侠客の起源は室町時代とされ、「渡世人」とも呼ばれた。「テキヤ」は「香具師」とも称する。江戸時代、賭博は重犯罪として厳しく取り締まられていたが、江戸中期以降には常習的に賭博を行う「博徒」の集団が現れ、現代に至っている。江戸のヤクザと京都・大坂など上方のヤクザは区別される。一方「テキヤ」はいわゆる「非人身分」とされていた。江戸時代には寺社の境内などで賭博を催し収入を得ていた。都市部だけでなく地方にも存在する。今日に至るまで「社会の枠組の外」の人々である。

 一方、イタリアやアメリカなどの国には、ギャングが存在する。
 先日のことになるが、5月12日付の読売新聞の夕刊に「大ボス逮捕 沈黙の村」という記事でイタリア・マフィアの伝説的な大親分「ベルナルド プロベンツァーノ」被告が、今年4月、出身地のシチリア島コルレオーネ村で逮捕されたことについて報道していた。92年にはマフィア撲滅に挑む判事を爆殺するなど、127件の殺人を含む罪で終身刑を10回以上宣告され40年以上も当局に追われていた「ゴッドファーザー」だという。
プロベンツァーノ体制のマフィアは、政官財界で網を広げ、企業に寄生し、公共事業から利益を吸い上げるなど、年間800億ユーロ(約11兆3400億円)を稼ぎ出す企業へと変容していたという。
 そのマフィアを捕まえるために、イタリア当局は、数多くの犠牲を払っている。
 「カパーチの虐殺」と言われる「ジョヴァンニ・ファルコーネ判事の爆殺事件」もその象徴である。「Benvenuti!Tomoの研究室へ!」に詳しい。
http://www.geocities.jp/tomo_toscana/study/italia/No1/ep2.html

ファルコーネは、1992年5月23日、妻のフランチェスカ・モルヴィッロと3人の護衛の警官とともに、シチリア島のプンタ・ライシ空港からパレルモへ向かう高速道路を車で移動中に爆殺された。この事件は、爆殺の現場の地名を取って、「カパーチの虐殺」と呼ばれている。マフィア撲滅のために生涯を捧げたこの判事の死は、それから約2カ月後に起こった彼の同僚、パオロ・ボルセッリーノ判事と5人の護衛警官の爆殺事件とともに、イタリア国民に大きな衝撃を与えた。彼らの死の記念日には、イタリア各地で市民たちの集会やデモがもたれた。また市民の家庭では、このふたりの判事への哀悼と彼らの遺志に連帯する意を示すために、家のベランダに白いシーツが掲げられた。出版界でも、マフィアに関するドキュメンタリーや研究書、マフィアへの反対を訴える書物やパンフレットが、次々に刊行された。このようなマフィアに反対する国民レヴェルでの大きな世論が起こったのは、イタリアでもはじめてのことであったろう。政府は国家の威信をかけて、マフィアへの徹底的な捜査と追求に向けて重い腰をあげた。その成果か、93年の1月には、24年ものあいだ逃亡生活を続けながらマフィアの世界を牛耳っていた「ボスの中のボス」、サルヴァトーレ(トト)・リーナが逮捕され、その数カ月後には首相を歴任したキリスト教民主党の黒幕ジュリオ・アンドレオッティに、贈賄とマフィアとの癒着の容疑で捜査通告が出された。そして、ミラノ地検が主導する大規模な政治家の汚職摘発によって、キリスト教民主党社会党は消滅し、イタリア政界は再編成の時代に入った。今思えば、情勢はあれからめまぐるしく変転していったのである。

 私たちは、亡くなった伊丹十三監督が、「ミンボーの女」のパンフレットで、

 「人は誰でもやくざを恐れる。やくざの前では、目を伏せて、かかわりあいにならぬようにして生きている。やくざの前では人々は誇りを踏みにじられ、屈辱に耐えている。私がやくざを許せないのはそこなのです。やくざが人々を恐怖で支配し、それによって意思決定の自由を奪い、人々に屈辱の人生を強いることなのです。」

というように言っているように、理不尽なこと極まりないのである。
 そして、門倉貴史著「人に言えない仕事はなぜ儲かるのか?」【角川oneテーマ21】に見ると、「税金を払わないビジネスが横行で国家財政は破綻する」という。
 税金を払わないビジネスとは地下経済であり、まさしくそれこそが暴力団の資金源である。
 そして、著者の門倉貴史氏は、著書の中でその対策をこう述べている。

 まずは、徴税事務に関する予算をもっと増やして、他の先進国に比べて絶対的に不足している税務職員の数を大幅に増やすことが望ましい。(日本の税務職員が見る納税者の数は、英国やフランスのざっと4倍にも及ぶ)。
 徴税業務の強化が税収増につながったのがイタリアだ。90年代後半に地下経済国内総生産(GDP比)で27.3パーセントまで膨らんだが、ここ数年は脱税の摘発強化が奏功して地下経済の縮小や財政赤字の改善といった兆候が見られる。脱税摘発にはフリーダイヤルによる密告制度も導入しているという。
 究極的にはプライバシー保護措置を取った上で、納税者番号制度を導入し、すべての所得が把握できる体制へ移行することが望ましい。

 暴力団の存在は、私たちが近代的な公平で公正な社会を生きることに水を差すものである。
 それは、経済的な面の公平や公正だけでなく、人間が尊厳を持って生きていくうえにおいてもである。