新会社法2

 5月1日に新会社法が施行された。
 新会社法で新たに創設された制度の一つに会計参与制度がある。
 これまで、大会社には、会計監査人の設置が義務づけられているため、計算書類の適正が確保されていた。しかし、大会社でない会社には会計監査人の設置義務がないため、会社の計算・会計の適正をどのように担保すべきかが問題だった。
 そこで、導入されたのが会計参与である。
 会計参与とは、公認会計士又は税理士の資格を持つ会計のプロで、会計知識に乏しい取締役等と共同で会社の計算書類を作成させることにより、会社の計算書類の適正を確保するために置かれる、社外役員である。
 会計参与は、主に大会社でない会社の計算書類の適正を確保する制度として新しく創設されたが、大会社も含めてすべての会社で、定款に定めることにより、会計参与を設置することができる任意の制度である。
 会計参与は、計算・会計の適正を確保するための制度であるので、誰でもなれるわけではなく、会計のプロフェッショナルである公認会計士監査法人を含む。)又は税理士(税理士法人を含む。)でなければならない。
 中小企業にとって、会計参与制度は、企業経営の健全性、透明性そして計算書類の適正性の確保という観点から有意義な制度であると考えられ、特に商取引の安全に資するための信用供与機能、さらには金融円滑化に資するものとなりそうだ。
 早速動きも出始めている。
 三菱東京UFJ銀行は先月30日、5月1日施行の会社法で新設される会計参与を導入した中小企業に対し、融資条件を優遇することを明らかにした。会計参与は、取締役と共同で決算書などを作成する役割を担う会計の専門家だ。会計参与が作成にかかわった企業の会計書類は信頼性が高く、貸し倒れリスクも少なくなることに着目した。
 優遇制度では、通常の融資より貸出金利を0・75%低くするか、上乗せ金利を支払うことを条件に代表者個人の連帯保証の免除を受ける方法などが選べる融資限度額の引き上げも可能という。国内最大級の税理士・公認会計士組織「TKC全国会」(会員約9300人)のメンバーが会計参与に就任していることなどが条件で、初年度は約500社の利用を見込んでいる。
 確かに中小企業政策で、従業員規模の小さい企業ほど、短期借入金利が高いなど、大企業に比べ借入条件が悪いことを学んだ。
 会計参与制度導入が、中小企業の資金繰りにどう影響するか、注目である。