「コピー機 長期契約で経費削減」に見る国と地方自治体の改革の違い

 国と地方公共団体の改革の違いを浮き彫りにする報道を見つけたので、紹介したい。
 一つは、NHKニュースの報道。 

 「通常国や工事の発注や物品の購入などを行う契約は1年ごとに行うことが原則になっているが、自治体では、おととし11月から2年以上にわたる業務を発注する『長期継続契約』が、コピー機のリースなどで認められるようになった」という報道があった。業務の発注期間を長くすることで業者に値引きを求め、経費削減を図ろうというのが目的だという。
 そして、NHKが、この長期継続契約がどの程度広がっているのか、都道府県と政令指定都市コピー機のリースと保守業務の契約について調査した結果、全体の半数を超える32の自治体で、経費削減を目的にそれまでの契約方法を改めて、長期継続契約を結んでいたことがわかったそうである。鳥取県では、昨年度142台のコピー機のリース業務について、3年分をまとめて契約する長期継続契約に切り替え、それまで、毎年、各課ごとに随意契約で発注していたものを、競争入札なども導入した結果、142台で1億6000万円かかっていた費用が、昨年度は3800万円と、4分の1以下に削減できたそうである。
【NHKニュース:http://www3.nhk.or.jp/news/2006/05/08/k20060507000114.html
 この方式は、鳥取県の問題提起で地方自治法の改正が実現した結果だという。
日本海新聞http://www.nnn.co.jp/news/050805/20050805002.html

 そして、もう一つ。Yahoo!ニュースの報道。

 都主税局は5月9日に、差し押さえた都税滞納者の乗用車オークションを都庁で行うという。東京とは04年7月からインターネット公売を実施しているが、オークション方式での車の公売は初の試み。英国の高級車ロールスロイスなど計6台(総見積価額523万円)を出品する。6台は4月のインターネット公売に準備が間に合わなかった車で、次回公売の8月まで待つと保管料など都の経費負担がかさむため、早めに売りに出そうと公売オークションに切り替えた。オークションは専門業者の見積もりを参考に算出した最低価額である見積価額から始まり、最高額を付けた人が落札する。
 今回出品されるのは、ロールスロイス(登録87年、見積価額40万円)▽三菱・アウトランダー(05年、153万円)▽日産・シーマ(01年、105万円)▽トヨタハイエース(99年、104万円)▽メルセデスベンツ(94年、77万円)▽日産・マーチ(05年、44万円)。
 都は05年度に都税滞納を理由に自動車計1936台を差し押さえた。実際に公売にかけたのは11台で、大半はその後に税が納められたため解除した。都は滞納者の車にタイヤロックを装着し、レッカー移動などの経費を省きつつ、事実上差し押さえる新手法も導入している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060503-00000070-mailo-l13

 地方自治体の取組は、自治体の首長にもよるのだろうが、素早いし的確だ。やっている内容も、住民にわかりやすい。では、国はどうかというと、・・・。
 unizouの国家公務員の友人K氏に、報道された内容と同じような話題をしばらく前に聞いたことがある。
 単年度予算の弊害や公売の方法について、若い職員は問題意識を持っているという話だった。
 しかし、「法律が、・・・」とか、「縦割りで、・・・」とかで、一向に進まないそうである。
 上司にも、本気でそこまで取り組む人もいないし、気概もないとも言っていた。
 そして、電子政府に対する取組も然りだそうである。
 愛知県や静岡県、そして大阪府などは、インターネットで見る限り業務の効率化スリム化の観点から、自治体一丸となって取り組み、かなり先行しているようである。
首長自らその取組の意義ややり方、そして、効果を発表しているので、わかりやすい。
 政府はどうかというと、省庁ごとにやっているようでさっぱり不明である。

 民間(銀行を除いて)はバブル崩壊の後に、相当な工夫をしてやってきた。地方自治体も同様に地方財政の危機的な状況を何とかしようとやってきている。
 国にも、硬直的な思考をやめて、民間や地方自治体を引っ張っていくような取組をして欲しいものだ。