映画「プロデューサーズ」

 現在公開中の「プロデューサーズ」を六本木ヒルズのTOHOシネマズで観た(http://www.roppongihills.com/jp/index.html)、やけにセレブな映画館で少々気後れするほどだった。全席指定、指定さえ取れれば、時間ぎりぎりに来ても席は確保されているため、便利と言えば便利か。
 「プロデューサーズ」は、「オペラ座の怪人」、「シカゴ」を超え史上最多のトニー賞12部門を制覇したミュージカルを映画化した作品という前評判に期待して行ったわけだが、やっぱりunizouはミュージカル映画が苦手だという認識を更に強める結果となった。
 実は、オペラ座の怪人と観たときも、「エビータ」を観たときもそう思った。
 「プロデューサーズ」の簡単なあらすじはこう。
 運に見放された落ち目の舞台プロデューサー『マックス・ビアリストック』と、小心者の会計士『レオ・ブルーム』。二人は手を組んで、究極のペテンに挑戦する。つまり、大コケ赤字間違いなしの駄作をブロードウェイにかけ、必要な資金以上の資金を集め、そして余ったお金を懐に…というもの。彼らの「大コケ間違いなし」の作品とは?それは他でもない「ヒットラーの春」と題されたミュージカルなのだ。最悪のシナリオに、最悪のスタッフをそろえ、出資者たちから集めるだけの資金を集めて臨んだ初日。しかし、ショーは皮肉にも大当たりをとる…。払いきれない配当を出資者たちに約束したプロデューサー二人の運命は…?
 今回の「プロデューサーズ」は、NYで大ヒットしたミュージカルをブロードウェーの舞台とほぼ同じ顔ぶれで映画化できたというから、舞台の臨場感がたっぷりの映像になっているものと思ったのだが、生の芝居やミュージカルを観るときに感じる、客席と舞台の間に流れる独特の空気感が、やはり映像からは感じ取れない。
 当然ストーリー展開は、当然全編歌なわけだが、曲も冗長で途中でさすがに飽きてくる。  
 だって、5分間をかけて朗々と歌い上げる主人公、しかし、主人公が5分をかけたその曲で伝えたかったことは、たった一言、「I Can’t do it.」。三秒で言えるこのセリフに5分、このテンポの悪さがどうも苦手だ。
 時間にあまり余裕がないなかで鑑賞するから、そう感じるのかもしれない。なぜなら新聞の映画評や映画ファンのブログを読む限り、おおかた作品を賞賛しているのだ。
 それでもunizouとっては、ミュージカルは生が一番。これが3度目の正直ということにして、ミュージカル映画からはしばらく足を洗おうと決意した。