セコムしてますか?

 一年くらい前になるだろうか、実家が空き巣に狙われた。
 手口は、いわゆる「ガラス破り」。
 窓ガラスをドライバーなどで指・手の入る大きさに破り、そこから手を入れてクレセント(窓の真ん中に付いている固定の鍵)を解錠し、窓を開けて侵入する手口だ。
 幸い、手の入る大きさに破る作業中、ガラス全面に亀裂が入り、今にも窓枠からガラスが落ちてきそうになったため、空き巣はあきらめて退散したらしい。
 確かに窓ガラス全部が割れたらかなりの音と衝撃であり、空き巣自身も怪我する恐れがあるし、そもそも家の主に見つかってしまうのだから、逃げるに決まっている。
 朝になって、カーテンを開けてびっくりした母、すぐ様、警察へ連絡する。
 よく見ると、窓のサッシ部分にもバールか何かでこじ開けようとした跡がある。
 駆けつけた警察署員の第一声は、「これはまた下手な空き巣だなぁ…。これじゃあ無理だワ。」
 被害者の気持ちを逆なでするような一言に思わず怒る母。
 だから、最近の警察は世間にたたかれるのだと、つい思ってしまう。
 なんでも、こういう空き巣は、一週間から10日ほど、標的とする家を観察しているものだそうで、その家のだいたいの就寝時間や寝室の場所などを見極めてから、犯行に移すのだという。
 標的も1つでなく、常に数軒を候補としてキープしているらしい。
 1週間も前から見張られていたとなると、なんだか気味が悪い。
 事が起こると人間思い出すことがあるものだ。
 そう言えば…と言って語り出す母。その晩、入浴中、車庫のドアが開く音を確かに聞いたと言うのだ。そしてドアが閉まる音がしなかったので、「あれ?」と思ったものの、洗髪してる間にそのことをすっかり忘れてしまったのだそうだ。
 それが夜の10時頃、家族が寝静まったのが12時頃だから、最低でも犯人は2時間以上庭に隠れていたことになる。
 今回のことで、始めて実家のクレセントが2段階方式で、ただひねれば開く簡単な品でないことが判明した、でも宝の持ち腐れで、全然知らなかった。
 日頃から2段ロックの心掛けが大事だそうだ。そう!空き巣が狙いづらい家造り。
 1週間経ち、サッシは新しいガラスに取り替えられ、すっかり元通りと言いたいところだが、そう簡単に気持ちの切り替えはできないものい。空き巣は未然に防げても、得たいの知れない恐怖がぬぐえないのだ。
 そして出した結論は、セコムしよう!
<つづく>