耐震強度偽装事件と士業のあり方

 昨年から騒がれていた耐震強度偽装事件で、今日、姉歯秀次・元1級建築士木村建設木村盛好・元社長、民間の確認検査機関イーホームズ藤田東吾社長ら8人が、一斉に逮捕された。
 いろんな事件があるが、この事件を含め士業のあり方が問われている事件が多いように思う。
 今回の事件で、建築士とは一体どういう立場にある人なのか調べてみた。
 建築士法は、次のように定めている。

(目的)
第一条  この法律は、建築物の設計、工事監理等を行う技術者の資格を定めて、その業務の適正をはかり、もつて建築物の質の向上に寄与させることを目的とする。
そして、建築士の業務はというと、
(業務執行)
第十八条  建築士は、その業務を誠実に行い、建築物の質の向上に努めなければならない。
2  建築士は、設計を行う場合においては、これを法令又は条例の定める建築物に関する基準に適合するようにしなければならない。
3  建築士は、設計を行う場合においては、設計の委託者に対し、設計の内容に関して適切な説明を行うように努めなければならない。
4  建築士は、工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に注意を与え、工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない。

 この法律に書いてあることからすると、姉歯元1級建築士は、建築士法でいう「建築物の質の向上」という目的を忘れ、自ら不適合な設計を行った。本来工事施工者に注意を与えるべきところを、工事施工者が不適合な設計を望み、考えられないことであるが建築主さえ不適合な設計を望んでいたせいである。
 建築士という士業だけでなく、弁護士、税理士など士業は本当に多い。しかし、最近は、それぞれの士業を規定した法律の目的に合わない行動を取った人たちが、多くの事件を起こしていると感じる。
 弁護士であれば、

(弁護士の使命)
第1条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。

と、依頼人の利益ばかりを求めたような使命になっていない。
 しかし、弁護士は被告人や依頼人の立場に立ち過ぎて、弁護をしていないだろうか。山口県光市の母子殺害事件で、殺人罪などに問われた男性被告(25=事件当時少年)の弁護をしている安田好弘、足立修一両弁護士などもそうではないのだろうか。私たちは、真実をみつめ、被告人の基本的人権を擁護するのはもちろんであるが、依頼されていない被害者の基本的人権も考慮しながら弁護活動をして欲しいと願っているのではないだろうか。少なくともunizouは、そう願っている。
 税理士であれば、

(税理士の使命)
第1条 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。

 独立した公正な立場に立たなければいけないのである。しかし、顧問先の依頼に応じて、脱税に手を貸している税理士の事件が新聞を賑わしている。

 今掲げた士業に関する法律だけでなく、他の士業においても、その使命において、第一にクライアントの利益を掲げている法律はきっとないだろう。
 もし、そうであれば、「天に唾する行為」で、その災いは、依頼人を含め、いずれ自分たちの身に降りかかることになるのだから・・・。
 ということで、中小企業診断士を目指しているunizouは、その使命を調べてみた。

(目的)
第一条  この法律は、国、都道府県等及び独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業支援事業を計画的かつ効率的に推進するとともに、中小企業の経営の診断等の業務に従事する者の登録の制度を設けること等により、中小企業の経営資源の確保を支援し、もつて中小企業の振興に寄与することを目的とする。

 「中小企業の経営資源の確保を支援し、もつて中小企業の振興に寄与することを目的とする。」か・・・。「振興に寄与する」とは、当然のとながら、コンプライアンスを遵守させた上でということ・・・。言いにくいことも、あえて言えるようにならなければ、存在価値はないし、診断士になるべきではないのだろう。