手もみラーメン100円

 先日、タンメンが食べたくなって、ラーメン屋を探していると、「福しん」がパッと目に入った。「福しん」は、都内や埼玉県でチェーン展開しているラーメン店で、以前にも仕事の途中、立ち寄ったことがあった(http://www.fukushin.info/event/kansyasai_001.html)。
 入口で何人か並んで待っているようだ、今日はやけに混んでいるなぁと思いながら、店に近づいていくと、黄色いノボリが立っているのに気付く。見れば、なんと「感謝祭!手もみラーメン通常価格380円を100円」とある。
 「えっ?100円!」これは、ラッキー。タンメンを急遽手もみラーメンに変更し、オーダーする。さすがに少し気が引けて、トッピングにあじたま(100円)を付ける。
 お客は、次から次へ口をそろえて、手もみラーメンをオーダー、厨房は大忙しだ。
 一気にラーメンをすすって、さてお会計は…、〆て200円!とても得した気分。
 この100円ラーメンは、ノボリには感謝祭とあったが、どういう戦略に当たるんだろう?と考えてみた。
 商品の価格設定政策には、いくつもあることは、既に企業経営理論で学んだ。
 ① 心理的価格政策…消費者の心理に働きかけて購入を促進させる政策、端数価格(98円、1999円など)、慣習価格、名声価格がある。
 ② メーカー希望小売価格…メーカーがその製品の適正な小売価格を設定し、小売段階でその価格を参考的な標準価格として表示する政策
 ③ オープン価格…メーカー小売希望価格を表示しないもの 
 ④ マルチユニットプライス…5個で1000円というように2つ以上の複数商品をひとまとめにして価格を設定する
 ⑤ プライスライニング…商品に対して、10,000円、15,000円、20,000円などキリの良いいくつかの価格ラインに整理する方法
 ⑥ 販売促進的価格政策…販売促進の視点により価格を設定するもの、ロスリーダー(おとり価格)政策、EDLP(エブリデーロープライス)政策がある。
 うーん、①心理的価格政策と⑥販促価格政策を兼ねた政策ではないだろうか。ラーメン1杯100円というのは、消費者の心理をうまくついている。男性なら小腹が空いていれば、ラーメン一杯は軽くいける。100円という価格につられて足を運ぶ人は多いだろう。しかも、感謝祭は1日限り、今日を逃したら損という心理も到底そこには働くだろう。
 一方、おとり価格政策といえる側面もある。ラーメン100円という目玉商品につられ、足を運び、そこでビール、餃子とほかの商品をオーダーする。ラーメンを呼び水に顧客を誘引し、通常価格の商品も同時にオーダーしてもらう。
 この1日で初めて福しんのラーメンを食べた人もいただろう。新規顧客開拓に一役買ったにも違いない。
 1日だけの感謝祭、偶然立ち寄れたunizouはとてもラッキーだった。