新会社法1

 ここのところ、新会社法を取り上げた新聞記事や雑誌が目に付く。
 3/26付ブログで「法の番人」と題し、5/1から施行される新会社法について触れた、目玉は「1人会社」・「1円会社」だと。
 厳密に言うと、「1円会社」の設立には、24万1円かかるそうだ。
 その内訳は、資本金が1円、登記の際に支払う登録免許税が15万円、会社の規則を定めた定款の認証手数料5万円、公証人が保存する定款原本にかかる印紙税4万で、計24万1円になる。
 実は、この「1円会社」、2003年2月に施行した「新事業創出促進法(現在は中小企業挑戦支援法)」で、資本金1円で創業できる特例が認められたが(平成20年までの時限措置)、その場合は、設立後5年以内に最低資本金(㈱なら1000万円、㈲なら300万円)まで増資する必要があった。
 新会社法は、この条件を完全撤廃したのだ。
 ある雑誌に杉浦正健法務大臣のインタビューが掲載されていた。
 改正の目玉に飛びついた記事の多い中、法務大臣のコメントを紹介しよう。
 現在、法務省を挙げて、「使える会社法、使おう会社法」というキャッチフレーズの下、関係各部局において、その円滑な施行を目指した努力が続けられているのだという。
今回の会社法の改正内容を一言で要約すれば「適切な規制緩和」。
すなわち、大会社における内部統制システム構築の義務化を図るばかりでなく、小会社にも会計監査人の設置を認めるとともに、公認会計士又は税理士の資格を有する者が、取締役と共同して計算書類を作成するという会計参与という機関を新たに設け、主に中小企業における経営の効率性と会計情報の正確さの向上を図っている。
 一方、会社経営の健全性の確保を図ることとした上で、①株式会社と有限会社の統合、②設立時の出資額規制の撤廃(最低資本金制度の見直し)、③株式会社における機関設計の規律の柔軟化。④組織再編行為(合併・会社分割等)に係る規制の見直し等を行うことで、会社経営の機動性・柔軟性の向上を図り、全体としては不必要と考えられる規制を撤廃・緩和し、会社経営について各会社自身の適切な判断に委ねる方法をとることとしている。
 大企業はもちろん、中小企業も、国際的にも国内的にも厳しい経済競争にさらされているのが現状である。会社は、その大小を問わず、経済の活力の源泉、雇用の担い手であり、この「使える会社法」を有効に使って、それぞれが独自性を発揮することで、わが国経済全体の発展に資するよう願っている。
 学生の頃、商法の2大柱は、「取引の安全」と「債権者保護」だと学んだ。
この2つのトレードオフ関係にある2つの利益をどう天秤にかけるか、この利益衡量こそが商法の根幹である。
歓迎モードが先行する中で、新会社法は、この商法の2つの精神の延長線上で、「適切な規制緩和」の道へ進むということになるだろうか。いささか心配である。
 「経営法務」の学習はこれからであるが、自分なりに検証してみようと思っている。