新入社員と人生

 先日の読売新聞の特集「豊かさ再発見」第三部「仕事と人生」でも、社会経済生産性本部の「新入社員が会社を選ぶときに重視すること【働くことの意識調査(2005年度)】」を資料にして、「やりがい2倍 プロの道」という記事があった。
 金融機関やコンサルタント会社に勤める人たちが、一口50万円の出資金を出し、副業として東京渋谷の繁華街にカフェをオープンしたという。
 20歳代から30歳代の約20人が共同経営していて、その中の30歳代前半の女性は、「いつも同じ顔ぶれの中で長時間仕事をしていると視野が狭くなりそう」とオーナーになったそうである。また、「本業で出世したい。でも、会社に滅私奉公していてもいい仕事ができるとは思わない。会社とは別のきずなで結ばれた仲間ができて、人生が広がった気がする。」とも言っている。
 そして、今日。たまたま、昨年7月まで隣の課長をしていたT氏が支社に立ち寄り、後任の課長とunizouの脇の応接セットで話をしていたのが耳に入ってきた。
 T氏は、既に支店長として赴任しており、当社の幹部社員である。
 二人が話していると・・・。
 「もう、毎日同じ顔ぶれで、同じ場所に行って飲んでるから、もう飽きたよ。・・・」
 「最近は、すぐに退社してパチンコだね。」
というのが聞こえた。
 隣にいるときから、真剣に仕事をしている姿を見たことがなかったので、「さもありなん」という感じであるが、この人の下にいたら、仕事においても人生においても、真剣に生きることで得るものがあることを知らない人間になってしまうと呆れてしまった。
 きっと、自分が享受すること以外に思いを馳せることもないのだろう。ただ、楽しければいいのだ。こんな人は、尊敬に値しない人物である。記憶の底からあっという間に消えていく人物だと思う。今は、きっと役職で人が周りにいるだけなのに、もっと、周りの人間の本当の気持を考えられる人間の奥深さが欲しいと思う。
 こういう人生観は、「テレビの悪い面での影響」がかなりあると、unizouは以前から感じていた。楽しくて、簡易なことばかりテレビが垂れ流しているせいで、人生はみんなそんな感じだと思う人が多くなってしまったのである。
 しかし、一方で、記事にあるように、やりがいを求めて生きる人がいるのも事実である。
 「出世」という尺度で、人生を眺めていると、背伸びせざるを得ないときがある。
 社会経済生産性本部の「働くことの意識調査(2005年度)」にあるように、「自分の能力・個性が生かせる(31%)」というような気持で臨めば、仕事でも、仕事以外の人生においても、背伸びをすることもなく、かといって向上心を失うこともなく自分を生かせると思う。
 「新入社員が会社を選ぶときに重視すること」を見ると、今の若い人を頼もしいと思うのは、unizouだけだろうか。
 人と比べてどうのということでなく、自分に与えられた可能性を生かし、人のために生きることで、自分の存在価値も生まれる。
 結局、人は才能があっても、人に感謝されたいと願い、人にその存在を認められてこそ生きられる、厄介ではあるが、愛おしい生き物だと・・・。