朝日新聞社説から 上司も夢や志を語れ

 あまり朝日新聞をほめたことがないのだが、昨日の社説には、頷いてしまった。
 「新入社員から 上司も夢や志を語れ」という題で、新社会人が上司に向かって、自分たちがどういう意識をもち、何ができ、どう接していって欲しいかを語ったものである。
 要約するとこうである。
 新社会人は、よく、夢を語れと言われる。しかし、新社会人は生意気にも、上司にも、夢を、志を語れと言う。それも、借り物でない自身のことばで。そして、それが本物ならば、きっと新社会人は共に歩んでいける、と確信していると言う。
 社会経済生産性本部の新入社員意識調査をもとに、その胸の内を述べると・・・。
 会社を選んだ理由で一番多いのは、「自分の個性や能力を生かせる」ということ。70年代初頭にトップだった「会社の将来性」は1割以下である。「定年まで勤めたい」人も2割を切っている。
 新大関白鵬(はくほう)は全身全霊を相撲にささげると抱負を語ったが、新入社員が会社にそこまでやるのはリスキーなこと。今、仕事や会社と新入社員の関係は、上司の新入社員時代よりシビアになっている。
 新社会人は、仕事を通じて人間関係を広げていきたいと希望しているが、上司は、「やっぱりノミ(飲み)ュニケーションか」と張り切るなとも。それは、職場に限らず、幅広いネットワーク、会社を離れても役に立つ人脈のことなのだから。
 就社でなく、就職という意識が定着したと考えて欲しいと。
 会社もまた「あなたは何ができるのか」だけに関心をもち、新卒かどうかなど関係なくなる時代の到来を社会学者の岩間夏樹さんは予測しているという。
 新社会人は、携帯電話やインターネットという新しいツールによるコミュニケーションには、たけている。今の若者には多様な人間関係を結べる繊細な感性がある、と指摘する研究者もいる。上司は、この特性をどうぞ、うまく使いこなしてと・・・。
 結びに、本田宗一郎さんの言葉を紹介している。
 「時代が進歩すれば、若者も進歩するにきまっている。永遠に若い人の知恵は進歩する」
 全文は、http://www.asahi.com/paper/editorial20060402.html
 この社説を読んで、わが社内に、こういった上司がいかに少ないか、今さらながらあきれてしまった。そして、そういう上司がいないといことは、尊敬できる上司がいないということであり、そんな職場に優秀な部下が生まれるはずがないと考えさせられてしまった。
 地位や名誉を大事にする人は多いが、人に尊敬されるということとはまったく意味が違う。尊敬されるためには、自分を厳しく律しなければならない。地位や名誉を大事にする人は、仕事はできるが、えてして尊大で自分に甘くなる。特に仕事以外のことになると、そういうことが多くなり、公私混同しがちである。
 仕事ができても、人間味がない人は尊敬されないし、仕事もできずに偉くなった人は論外である。
 社説のように夢を、志を語り、初心を忘れず、そして、日々一生懸命に仕事も生活もこなしているピュアな上司と一緒に仕事をしたいと思う。
 そして、それは上司という枠でなく、同僚や後輩でも、尊敬できると思えるような人が一人でも多くいれば、それだけで恵まれていることだと思う。
 ちなみに、unizouには、今までの会社勤めで尊敬できる上司もたった数人しかいないが、一方で尊敬できる後輩も一人だけいる。幸せなことである・・・。