生かされているとは・・・(ホームレスと痛くない注射針)

 テレビ朝日で夜放送した「春爛漫の列島直撃SP 傍若無人の花見大騒動言語道断!凶暴泥酔客厳冬脱したホームレス驚がく人生を生きる術浮かれる日本ウラと表徹底大追跡」という番組を見た。
 極寒の旭川や上野公園のホームレス、そして大阪の愛隣地区でのホームレスの人たちの生活を追っていた。
 旭川や上野公園のホームレスは、空き缶を拾い、花見の関取をし、何とか生きるために食べるものを買って生活している。
 大阪の愛隣地区では、ホームレスになりながらも、日雇い仕事をして生活をする人もいるし、NPO団体によって行われている食事の配給を頼り、公園に列を作って並ぶことしかしない人もいる。
 unizouは、定住の場所がなくても、日雇い仕事をして生活しているのであれば、この人たちは、行政のやり方次第で救われる人たちだという気がする。
 しかし、そうでないホームレスの人たちは、生きる意欲を既になくしてしまっている人たちであり、どんなに誰かが手を差し伸べても、反応しない人たちのような気がしている。
 こういった生きる意欲をなくした人たちに何ができるのか?
 テレビでは、お決まりの文句なのか、最後に「日本経済の弱者へのしわ寄せが、こういった現象となっている。」といったことで結ばれる。
 unizouは、拝金主義の象徴のような生活をしているディトレーダーもそうだが、こういった番組を作っている人たちも逆の意味で拝金主義者であり、働く意欲をなくしたホームレスの人たちも同じなのだと思う。何かというと「お金がないとダメなんだ」という考え方を持っている人は、持っている金の多さに関係なく拝金主義者そのものなのだ。
 しばらく前になるが、産経新聞の日曜日の特集記事「人語り」に、「痛くない注射針」岡野工業代表社員岡野雅行さん(73)の「金追うな 仕事追え」という記事が出ていた。
 テレビでも最近取り上げられているので、ご存知の方も多いかもしれないが、岡野工業は東京の下町、墨田区東向島にあり、従業員わずか6人で年商6億円を稼ぎ出す超優良中小企業である。父親から引き継いだ金型製作技術に「深絞り」という金型プレス加工を加えて独自の技術を開発し、顧客はトヨタソニーなどの大企業から米国防総省NASAEU諸国に及ぶという。
 最近では、「痛くない注射針」を開発し、痛みに耐えて毎日欠かさずインスリン注射を打たなくてはいけない糖尿病患者に感謝されたという。
 その岡野さんは、

 世の中甘くない。中学校を卒業して種まき、20歳で芽が出て30歳で成長し、40歳で実になって、55歳でやっと収穫だ。でも、今の人は、手っ取り早く結論をみたいだろ。20年辛抱できるか。『若者よもっと辛抱しろ。辛抱こそ人生を切り開く』といいたいね。
 おれは人一倍、失敗してきた。それは、人一倍、チャレンジをしてきたということ。だから、『性急に結果を求めず、働いて働いて辛抱しろ』といいたい。金を追うな、仕事をしろ。お金は後からついてくる。金を追いかけるから、逃げる。金は汗をかいてもらうものと銘じれば、チャンスはくる。

と・・・。
そして、「自分が世に貢献できるのは技術を磨くこと」とも言っている。
 岡野さんのように、超一流の技術を持っていなくてもいい。それぞれが、誰かのために少しでも貢献していると思うことができたら、生きていける。
 そして、お金があってもなくても、技術があってもなくても、誰かのために少しでも貢献していることで人に「生かされ」、「生きていく意欲」が生まれてくる・・・。
 決して、配給では、「生きて」いても、「生かされている」という気にはならずに、人間には戻れないのである。