地価公示と地域格差

 23日に地価公示の発表があり、国土交通省の発表は次のようなものだった。

全国平均で見ると、地価は引き続き下落しているが、住宅地、商業地とも下落幅は縮小している。

  1. 三大都市圏では、東京都区部大阪市京都市及び名古屋市といった各圏域の中心都市の都心部においては、ほぼすべての地点が上昇又は横ばいとなった。その中には、利便性・収益性の高さを反映してより高い上昇率を示す地点も見られるが、それ以外の大半の地点はわずかな上昇又は横ばいとなっており、過去の地価水準と比較すると、住宅地はおおむね昭和50年代半ば、商業地はおおむね昭和49年以前の水準である。また、郊外部においては、都心部に近接した地域及び都心部からの交通利便性が高い地域を中心に上昇地点が現れ、又は増加しているが、それ以外の地域では、ほぼすべての地点が、下落幅は縮小しているものの依然として下落している。
  2. 地方圏では、住宅地、商業地とも下落幅が縮小した。地方ブロックの中心都市では上昇地点が現れ、又は増加しており、ごく一部の地方中心都市にも上昇・横ばい地点が現れてきたが、それ以外の地域では、ほぼすべての地点が、下落幅は縮小しているものの依然として下落している。

 このように、今回の地価公示に基づく地価動向においては、総じて見れば、下落傾向が継続しているが、大都市の都心部を中心に持ち直しの動きが見られ、その兆候は一部の地方中心都市にも見られ始めている。
http://tochi.mlit.go.jp/chika/kouji/20060324/index.html

 ところが、TBSテレビニュース23では、地価公示のニュースを伝えた後、最後にこう締め括っている。

 対照的に、地方では人口の減少や中核都市からの大型商業施設の撤退などもあって、全体的には、まだ地価の下落には歯止めがかかっていません。
 「二極分化の時代は昔の話で、低いところが高くなるわけではなく、高い所がより高くなる一極集中型の地価構造になっている」(不動産経済研究所・角田勝司社長)
 日本経済の「失われた10年」の象徴とも言われた地価の下落。日本経済が本当にデフレを克服するには、都市部に遅れを取っている地方の再生が鍵になりそうです。
http://news.tbs.co.jp/20060323/headline/tbs_headline3252150.html

 そして、筑紫キャスターが、「小泉首相の弱者切捨ての現れですね。」的なコメントを言い、格差社会に結びつけようという感じであった。
 土地は住むなら安いに越したことはないではないか!
 需要があって、収益を上げられる土地は、地価が上がっても問題ないと思う。そんなに地価が上がったところは、庶民には全然必要ないし、求めもしまい。
 筑紫キャスター始めニュース23のキャストの人たちは一体どこに住んでいるのだろう? 相当な山奥から毎日通っているのだろうか・・・。
人のこころが、都心に向かっているのである。誰のせいでもないし、規制はできまい。

 自民党久間総務会長は、21日、青森市で開かれた党青森県連主催の政経セミナーで「道州制については「東北や北海道は(中央と)同じ条件で競争しても勝てっこない」と述べ、道州間の財政格差を懸念。地方交付税は、人口の少ない自治体に配分額を増やすような制度改正が必要」との考えを示した。

 どうして、必要以上に地方に手をかけようとするのだろう。
 山奥まで道路を作ったり、いらない施設をつくったりと、お金があれば余計なことをやり始める。
 地方の福祉や教育にお金を使うのは仕方ないとしても、入ってくるお金で身の丈にあったやりくりをするのが一番いいと思う。今まで、余計な開発をしすぎて自然環境がどれほど破壊されたことか・・・。
 富士山が世界遺産になれないのが、いい例ではないか。誰でもが苦労しないで行けるような場所にしてしまったから、価値が下がった。
 できるだけ自然のままにしておくほうが、価値が高まるし、人間にとってもいいのである。
 何でもかんでも同じようにずる必要は、まったくない。
 本当に行きたければ、都会に生きている人も、大枚を払ってヘリコプターでも使って行くことだろう。お金がなければ、時間をかけて足でそこへ向かうのだ。
 中途半端に、誰でも足を踏み入れられる場所にしたために、大切なものを失ってしまった場所が山ほどある。
 人の心が便利さを求めて都会に向かうのであれば、そこをできる限り住みやすくしていく。
 そして、地方は地方の身の丈にあった開発をする。できれば、自然は手を加えず自然のままにする。自然の摂理にあった姿こそ望ましい姿であり、将来に禍根を残さないやり方だと思う。