仕事の断り方

 WBCイチローの言葉を借りれば、屈辱的な1日だった。
 昨年の11月頃から、ある会社に是非提供したい!と思うサービス(以下「提案」と呼ぶ)があって、それをunizouが手掛けてきた。
 社内規定に沿って作成した説明書・仕様書の提供はもちろん、先方の希望に応える形で、新たに作成した資料もかなりの量にのぼり、説明し足りないことはないくらいの域だった。
 通常であれば、このクラスの提案は、長くても3ヶ月以内に、最終的な結論、すなわち契約成立OR不成立の回答を先方から得られる運びとなるが、三月も半ばを過ぎ、かれこれ5ヶ月が経過しようとしていた。
 unizouの取引の相手方は、ある会社の支社で、この提案に関しては、本社の意向も考慮はするものの支社レベルの稟議だけで最終判断まで可能な案件と聞かされていた。
 年が明けても、定期的に先方の担当者に連絡し、社内の動きはキャッチしていたところ、2週間ほど前だったか、担当者のさらに上席者から、「本件に関して、本社が打合せをしたがっているため、日程を調整願いたい。」との電話があった。
 咄嗟に、「どういった向きの打合せになるのか?」、「こちらで用意する資料等はあるか?」と質問したところ、その上席者は、「詳細は分からないがとにかく来てほしい。」との1点張りで、何とも歯切れの悪い電話であった。
 今になって思えば、この電話が既に伏線だったのだ。
 そして、本日午後その打合せが開かれた。場所は本社会議室、出席者は本社3名、支社2名、そしてunizouら2人の計7名。
 本社の1人が仕切り役となり、unizouらに対し、提案の説明を求めた。
 unizouは、この打合せの成否如何で、最終的な決定がくだされるものと信じていたため、今まで以上に丁寧に要所要所を説明し、質問にも答えた。
 しかし、30分も過ぎた頃、いくら買い手と売り手とは言え、どうもこの本社の仕切り役の攻撃的な物言いが気になり始め、また支社の2人が、本社の攻撃的な姿勢をいなすでもなく、unizouらをフォーローするでもなく、だんまりを決め込む姿に違和感を覚え始めた。
 そして、気づいた。
 打合せと称しているこの場が、Unizouらの提案を断るための場であることに!
 わざわざ遠くまで呼び寄せておいて、なんという人を馬鹿にしたやり方なのだろう。
 本社と支社の5人の中ではしっかりシナリオができていて、さも検討途中ですというスタンスに見せかけておきながら、途中から「早くこちらの本意に気づけよ!」と言わんばかりの態度をチラつかせる。
 こんな時間を1時間半も過ごした挙句、最後の最後で、現段階ではこの提案は受けられませんと言ってきた。
 断るなら、電話で一向に構わなかったし、足を運ぶにしても、支社まで十分だった。
 この仕事以外でも支社とは懇意にしたけれど、本社を巻き込んで、芝居まで打って仕事を断るというやり方に対し、あきれた。でも悔しかった。
 契約成立の場面は、互いにハッピーだから、互いの本性は見えないもの、逆に仕事を正式に断るときこそ、その会社の姿勢であったり、担当者個人の資質、誠実さがよく見えてくる。
 今日は、会社にあって憎まれ役をどう買って出るかについて勉強にはなったが、こういう結果になったことはとても悔しく残念だった。